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海−
生命の全ては海から生まれたと言う−
そして死んだら土に還るという−
・・・・・・
なんでだろうなぁ・・・
海から生まれたんなら海に
還るべきだろうと思う・・・
・・・まぁどーでもいい事かもしれんが・・
・・はぁ・・・
俺の名前は
、21歳・・
こんな所で何をしてるのかって・・・・?
海見てるんだな・・・これが・・・
・・・・・・
よっと・・・
はぁ〜、空が青い・・・
ちなみに俺の心も青い・・・
・・・・・・
俺の試験番号は・・・s003102・・・
・・・s003097・s003098・・・
s003100・・・s003104・・・ あ・・・
また落ちた・・・のか・・
これで・・・何度目なんだよ・・・
・・・4度目の大学受験も失敗し、
俺は心身共に疲れ果てていた
そして、あれから4ヵ月・・・
俺はもう行き慣れた予備校にも足を運んでいなかった
もう疲れた・・・・
どうせ同じ事しかしないんだ・・・
それに行ったとしても年下の受験生しかいない
その中に居るだけでどれだけ気持ちが
ヘコむことか・・・
4ヵ月、俺は何もせずブラブラしている
結局、やる事がないんだ・・・
勉強する気にもならない・・・
バイトをする気にもならない・・・
仕事にも・・・ こんな万年浪人生の俺が
就こうって気にもなれない・・・
もうブラブラする事にすら疲れた・・・
・・・・・・
このまま・・浜辺で寝転んでいたら
・・・楽かもな・・・
このまま・・潮が満ちて・・・海が俺を
包んでくれるかもしれないな・・・
海に還る・・・かな・・
声 「何やってるんですかぁ?」
ん?
何だ・・? 急に視界が・・・
・・・?
女の子「こんなトコで寝てたらあきませんよー
カゼひきますよ、今は夏やけど」
・・・・・?
・・・な、なんだこのコは・・・?(汗)
妙な言葉使いで・・・関西弁みたいだけど・・・
「あ・・・えーと・・」
女の子「ここら辺の浜辺は泳がれへんですよ
なんかどこかの私用浜辺らしいですから」
女の子「まぁ日光浴くらいやったら別に
構わんかもしれませんケド」
・・・・・
「あ・・・えーと・・」
突然の事で対応できない俺
「あ、えーと、ここの浜辺は私有地ということで・・」
「すいません、すぐ出て行きますんで・・」
まぁ確かに今朝からここにずっと居たので、この時期の
海に誰も居ないのはおかしいとは思っていたが
女の子「あ、別に構いませんよ そんなに急がんでも・・」
「はい?」
女の子「今朝からずっと居るでしょ? アナタさん」
女の子「ずーっと寝転がってた・・・
だから気になってん」
「何が・・・?」
女の子「何やってるんですか?」
女の子「・・ってコトです」
「うーん・・・」
「何してるように見える?」
女の子「・・わからナイから聞いてるんやけど・・・」
まぁ・・・そりゃそーだ・・・
「答え。特に何もしていない。終わり」
女の子「・・なるほど!」
納得したぞ、おい
女の子「アナタさん、もしかしてヒマ人?」
・・・正解かな・・・
「ところでその『アナタさん』ってのやめてくれないか
慣れなくてヘンな感じだ・・・」
「俺には
、という名前がある」
女の子「
。・・・
。・・うん、了解した」
葵 「ボクの名前は日向葵(ひゅうがあおい)
って言うねん」
「ふーん、葵・・・さんね・・」
『ボク』とはまたマニアックな・・・
葵 「・・・・・」
葵 「あれ?『イイ名前だね』って言わへんのや?」
「はっ?」
葵 「女の子から名前聞いたら言ったほうがええで
好感度アップや」
葵 「何事も第1印象は大事やからな」
「・・あ・・ああ・・・」
葵 「・・・・・・」
「・・・・・?」
葵 「・・・(じ〜っ)・・・」
「・・あ・・いい・・・いい名前だね・・・(^^;」
葵 「うん!さんきぅ!」
ヘ・・ヘンな娘だなぁ・・・いきなり現れて
次々と喋るし・・・
葵 「なァ、ところでこの花束ってキミが置いたん?」
「ん?花束・・・?」
え?なんだこの花束は・・・?
こんなのさっきまであったかな?
俺、今朝からずっとここに居たけど・・・
葵 「・・セスリスの花やな・・・」
「セスリス?」
聞いた事のない花の名前だ・・・とゆーか
花の名前なんて元々よく知らないけど
葵 「夏桜や、ホラ、『秋桜』って書いて
コスモスって言うやろ」
葵 「『夏桜』って書いてセスリスって言うんや」
・・ふーん・・・
葵 「珍しいなァ、ここら辺には咲いてないのに・・・」
葵 「キミ、これからどうするの?ヒマなん?」
「ヒマヒマって・・(汗)まあ確かにやること
ないんだけどな・・・」
葵 「もしかしてまだ海見てるつもり?」
葵 「ここら辺は夜になると潮満ちるから
早めに逃げな溺れるで」
・・・・・・
「ん・・じゃあこのまま居ようかな・・・」
葵 「・・なんや、キミ溺れたいんか?」
「・・・・・」
葵 「なぁ」
・・・・・・
何も言わず寝転ぶ
空は、まだ青い
「このまま俺がここに居るのは自由だろ・・・」
「ならそっとしておいてくれ」
この4ヵ月、他人に干渉されずに生きてきた
たった4ヵ月・・・
それでも、何もしないだけで今のこの世界に
取り残された気がする
世界は・・俺を必要としていないんだ・・・
俺自身の存在に、何の意味があるのだろうか
「だから・・放っておいてくれ」
葵 「嫌や」
「・・・・・」
葵 「自分家の敷地内で自殺者出せるかいな」
「なんだ、お前んトコの私有地だったのか・・
この浜辺・・・」
葵 「あんまり言いたくなかっただけや・・・
あつかましい気がしてな」
葵 「キミ、自分の命を粗末にしたらアカンで」
「・・・・・」
・・やれやれ・・・
葵 「なんでそんな考えなんかは知らんケド
自殺なんて阿呆のする事や」
「ああ、俺はアホかもしれないな・・・」
「受験に4回も落ちて、自分の事が
ぜんぜんわからなくて・・・」
「あまつさえ自殺なんて考える阿呆だよ」
葵 「・・・・・」
葵 「受験が何や、紙切れに文字書くの間違えただけで
何で命捨てなあかんのや」
「・・・・・」
「時と場合によっちゃあ・・そういう事も
あるんじゃないかな・・・」
ゴツッ!!!!
「痛ぇっ!!」
な・・何の前触れもなく殴ってきたし・・・(汗)
葵 「本トにアホかっ!?人間が死んでいい理由があるかっ!!」
葵 「人間生まれてきた以上、頑張って最後まで
生きる義務があるんやで!!」
ぐっ・・・(おそらく)年下にそこまで言われると
また妙にヘコむなぁ・・・
「・・ところで葵サン・・・何歳なの?」
葵 「17や、もうすぐ18になるけどな」
葵 「キミと同じ受験生や」
うぐっ・・(汗)そういう言い方するのか・・・
葵 「確かに学校の勉強は面倒で面白うなくて
ツライかもしれん」
葵 「でも嫌な事から逃げとったら何も変わらへん
逃げてたら経験値は上がらへんのや」
葵 「レベルアップせえへんままだったら
いつまで経っても物語は進まへんで」
・・なんか変な例えだな・・・けどまぁ
わかりやすいって言ったらわかりやすいか・・・
「いいんだ、俺は勇者なんかじゃない。俺の物語なんて
つまらない三流小説みたいなもんだ」
「つまらない本は読みたくない、読んでも
意味がない,読んだってつまらないだけだ」
葵 「・・・・・・・・」
葵 「・・三流小説だとしてもその著者は必死で
その物語を書いたんじゃないかな・・・?」
「・・・・・」
葵 「大切なのは中身やあらへん、それを一生懸命
頑張ったかどうかや」
葵 「自分の物語がつまらんのやったら、これから
面白くしていけばいいんや」
葵 「誰も明日の事なんてわからへん、ボクだってわかるかいな」
葵 「頑張って、必死に頑張って自信の持てる物語になったら
それでええやん、たとえ自己満足でも」
葵 「それは本人にとったらどんな一流小説よりも
素晴らしい世界やないか」
「・・・・・・」
・・・・はぁ・・・
・・なんか考え方そのものが違うな・・・本当に・・
生きてる事に誇りを持ってるみたいに・・・
俺に・・こんな考え方ができるのだろうか・・・?
よっ・・・と
葵 「・・ようやく立ち上がってくれた・・・」
葵 「なんや、やっぱりキミ背ぇ高いな、ボクが
背ぇ低いからうらやましいわ・・・」
「・・そうだな、葵サンちっちゃいな、160cmないでしょ」
葵 「155.2cmや・・・」
細かいな
葵 「ええやんか、人は見た目やあらへんのやで
ちっちゃい方がコンパクトで高性能や」
葵 「ご飯も少なくて済むし、省エネ大賞受賞やで」
電化製品かよ
「メシか・・・そういえば昨日から何も食ってないから
腹減ったな・・・」
このまま何も食べないつもりだったから
食べ物は全然持っていない
腹 「きゅるるるるるる〜」
・・・腹が急に鳴った
豪快な音だ
葵 「なんや、腹に何か飼っとるんか?鳴いとるで」
「・・飼ってないって・・・ただ腹が減っただけだ」
・・どうして『飼う』という発想になるか
よくわからんのだが・・・(汗)
葵 「もうお昼過ぎてるもんな、ボクはさっき食べたケド」
葵 「おソーメンとおにぎり」
むっ・・・夏場の昼飯と言えばそれが王道・・・
さすがは関西人だな・・・(謎)
「・・考えると急に腹が減ってきたな・・・
ここら辺にお店あったかな・・?」
「ソーメンとおにぎりが俺を呼んでいる気がする」
葵 「・・ウチで食べるか?まだ余ってるみたいやし」
「えっ?」
葵 「ウチ・・・というか別荘なんやけどな、すぐそこの」
「・・お邪魔してもいいのか?」
葵 「お邪魔も何も、ココすでにウチの敷地内やって
キミ、実は不法侵入やで」
「・・・・・」
「じゃあ・・お邪魔させてもらうかな・・・実は
あんまりお金が無くて助かったよ」
葵 「なんや、お昼ご飯買うおカネも無いのか?
さみしいフトコロやな・・・」
ズボンのポケットから財布を出してみる
中身は・・・えっと・・・・
葵 「どれどれ?」
・・・・・・
・・・78円・・
それと・・免許証と・・テレカ一枚
・・それにCDレンタルの会員証
あとなぜか遊戯王のレアカードが3枚・・・
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「・・キミ・・・ほんまにそのままだったら死んでたな・・・」
・・・・・
これが俺と彼女の出会いだった
生きることに絶望した俺と
生きることそのものに命をかけた彼女の−
これから始まるたった14日間の・・・
つらくて・・・
せつなくて・・・
悲しくて・・・
・・けれど・・・
とても大切な物語−
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葵 「もうすぐ着くでー」
・・もうすぐって・・歩いてまだ1分ぐらい
なんだけどな・・・
あ、車が適当に置いてあるんだけど大丈夫かな・・・
まぁここら辺、車通り少ないけど
葵 「おーい」
「ん?」
葵 「なにまだボーッとしとんねん、シャキッとしぃ」
「・・・・・」
もしかして向こう側に見える大きな建物が
そうなのかな・・・?
デカイ家・・・いや、別荘か。すごいな・・・
流石は浜辺を私用してるだけあるってことか
俺ん家よりでかいのがくやしいのう・・・
「葵サンの家って凄いんだな、別荘なんて俺には
全然ピンとこないけど」
葵 「・・別に何も凄いとは思わんけど・・・」
いや、凄いって
葵 「なぁ、さっきからひとつ気になってん」
「ん?」
葵 「その『葵サン』って止めてや、キミの方が年上やろ?」
葵 「受験4回したなら21歳か22歳やろ?
『葵サン』言われたら変な感じがするねん」
葵 「まぁボクもキミの事を『キミ』や言うて
人の事は言えへんケドな」
「んー、別に『キミ』で大丈夫だよ
そうだなぁ・・・じゃあ・・・・」
「やぁ、葵☆」
葵 「・・いきなり呼び捨てかいな・・・」
「じゃあ・・・あおりん☆」
葵 「エエけど・・・大の男が言うたら気持悪いなぁ」
ぐ・・・(汗)
絶妙なニックネームだと思ったんだけどなぁ・・・
頑張れあおりん!みたいな
「じゃあ・・・葵ちゃん・・・」
葵 「まぁ、無難なトコやな」
葵 「うん、じゃあもう着くで。お昼食べるんやろ?」
そうだ、とらわれのソーメンとおにぎりを
助けに行く話だったんだ
葵 「ばあやー!帰ったでー」
・・ばあや・・・?(汗)聞き慣れない言葉だが・・・
それにしても広いリビングだな・・・
ばあや「お帰りなさいませ、お嬢様」
「うわぁぁぁぁ!?出たっ!!!!」
「なんみょうほーれんげーきょー!!げーきょー!!
隣の客はよく柿く−客だー!!(違)」
ばあや「・・・・・・・」
「ああっ!夏の怪奇物語が始まるのかっ
ココにこの様な魑魅魍魎の存在がっっっ!!」
葵 「
くん、違う違う。この人がばあややねん
ウチのメイドさんやで」
「はぁ?」
ばあや「私が葵お嬢様のお世話をさせてもらっている
メイドですじゃ、ふおっふおっふおっ」
葵 「ウチのメイドさんのばあや」
「ダメだあぁぁっ!!違うっ!!!こんなの
メイドなんかじゃないっ!!!」
「メイドさんってのはもっと若くて綺麗でメイド服で
カチューシャなんかが異様に似合ってて・・・」
ばあや「そんな時期もありましたかのう
ふおっふおっふおっ」
「畜生!バルタン星人みたいな笑い方しやがって!!」
「認めねぇ!俺はアンタをメイドなんて認めねぇぞ!!」
そうだ、天が認めても俺が認めん、世の中の
メイドマニアが認めないだろう
そう!どっちかと言うと葵ちゃんみたいな娘が
メイド服着て正しい証明問題なんだ!
俺は断固戦う!葵ちゃんにメイド服を
着てもらう為に!!(違)
ばあや「お嬢様・・・こちらのべっぴんさんは・・?」
ばあや「お嬢様のお友達とは違う様子ですが」
葵 「ん、なんやウチの浜辺で自殺しようとしてたん
ボクが拾ってきてん」
おいこら、ストレートすぎるって
ばあや「・・お嬢様、生ゴミの日は火曜日ですぞ」
「俺は生ゴミじゃねぇ」
葵 「おなか空いてるんやて、お昼食べてないみたいやし」
「そーなんだ、ばーさん。今俺がソーメンとおにぎり
食わなきゃ、地球が大変な事になるんだ」
ばあや「あらあら・・・」
ばあや「じゃあ用意しましょうかねェ・・・
ふおっふおっふおっ」
ずずずずず〜
・・・もちゃもちゃもちゃ
ずずず〜・・・ごっくん
・・・ふぅ・・・
ソーメンとおにぎりを完食、ちなみに7分30秒
・・世界記録にはまだまだだな・・・
美味しかったのはなんか悔しい
ばあや「あら?もうお食べになったのですか」
「ああ、馳走になった。そこそこ美味しかったな」
「ちなみにもう少し塩味が欲しい」
ばあや「ふおっふおっふおっ・・・そうですか」
しかし、よくよく考えると物好きな人達だな・・・
見ず知らずの人間、それも男をすぐに家にあげて
メシ食わせてくれるなんて・・・
よく考えると無用心だぞ・・・
ばあや「・・・・」
ばあや「そういえばまだ名前を聞いてなかったねぇ
べっぴんさんの名前」
「ちょっと待て、さっきから気になってたがその
べっぴんさんって何だ」
ばあや「ホラ、TVに出てるあの・・何でしたかのう・・・」
ばあや「そうそう、キメタク」
「キメタクじゃなくてキムタクだぜ、ばーさん」
ばあや「そうそう、そのキムタクに似てなさる様に見えましてな
べっぴんさんじゃないですか」
「・・あのなぁ、確かにばーちゃんが若い男みれば
誰だってキムタクって言うもんなんだ(汗)」
「俺は
だ。ばーさんの名前は?」
ばあや「ふおっふおっふおっ・・・名乗る程の者でも
ないですわ・・・」
何者だ、お前は
ばあや「・・・・・」
ばあや「
さんは・・あれかのう・・・」
ばあや「
さんにはつらいかもしれんが・・・」
「・・・・?」
ばあや「お嬢様の残り少ない生活の支えに
なってくださいな・・・」
「・・・??」
何言ってるんだ、このばーさんは・・・?
葵ちゃんが残り少ない生活とか何とか・・・
どういうことだ?
葵 「ばあや」
ばあや「お嬢様・・・」
葵 「ばあや、その話はボクの方から話す
黙っててや・・・・」
ばあや「はぁ・・・まだ
さんには話してなかったの
ですか・・・」
・・・?何だ、なんか深そうな事情みたいだけど・・・
葵ちゃんもつらそうだし・・・
「葵ちゃん?」
葵 「ゴメンな、詳しいことはまた後で話すから」
葵 「キミ、行くアテないんやったらもう少し
居て欲しいねん」
葵 「今は・・・まぁTVでも観ててや・・・」
「・・あ・・・ああ、わかった」
葵 「ばあや、こっち来てや」
ばあや「はい・・・」
・・・・・
何だったんだろう、気になるな・・・
まぁ・・・今はTVでも観させてもらうか
・・・金曜日のこの時間帯だと・・・子供向けの
戦隊モノくらいしかやってないなぁ・・・
久しぶりに観てみようかな・・・・
========== 8_173.SCO ==========
・・・・・・
もう8時か・・・外ももう真っ暗だ・・・
TVではバラエティーの番組で盛り上がってる
ゴールデンタイムというやつだ
最近はTVなんて見てなかったが
知ってる番組は知っている
・・・さて、これからどうしようかな
葵ちゃんが話があるみたいだから待ってたけど
ずいぶん遅いよなぁ・・・腹も減ってきたし・・・
・・・・・
時計を見ると8時30分を差していた
今晩はどうしようか、流石に泊めてもらえるとは
思えないし
また、車の中で寝るかな・・・
葵 「・・長いこと待たせてゴメンな・・・
ヒマやったろ・・・?」
「ん・・・いや、別に。TV観てたし」
「最近の戦隊モノとかも結構変わってて
面白かったし」
そう言ってTVの電源を消す
葵 「うん・・・」
葵 「ちょっと・・・外出ぇへん?」
葵 「家の中より外の方が涼しいで・・・」
「・・あ、ああ・・・」
葵 「星が綺麗やなぁ・・・」
月明かりの中、浜辺に出る
海から吹く風は涼しく、波の音が心地よかった
思えば夜の海なんて来たの初めてだ
葵 「・・昼間はゴメンな・・・」
「・・・ん?」
葵 「ここで話したことや」
葵 「キツイ言い方したり殴ったりしてもうた」
「あ、ああ・・・別に・・・」
葵 「謝る。何にしても暴力はいけないことや
ボクが悪かった」
「・・・・・・」
葵 「ひとつ質問してもいい?」
「・・・ん?何?」
葵 「キミ・・・どうしてココに来たの?今の時期
受験生は勉強してるべきや」
葵 「さっき言ってたみたいに・・・」
葵 「死ぬために・・・ココに来たんか?」
「・・・・・」
「そうじゃないけど、そうかもしれない
元々、行く場所なんてなかったんだ」
「4ヶ月間。いろんな場所をさまよって、今日ここに来た
もうここで最後にしようとした」
葵 「・・・そっか・・・」
葵 「なぁ・・・不思議やと思わんか?」
「・・・ん?」
葵 「さっき言ったとおり、ボクもキミと同じ
受験生の一人や、なのに・・・」
葵 「何でこんな・・人里離れた場所に居ると思う?」
「・・・余裕だからか?そうだとしたら
うらやましい限りだ」
葵 「・・・違う」
葵 「意味がないねん」
「・・・?」
葵 「ここには・・この別荘には・・・療養・・・」
葵 「そう、療養に来てるんや」
「療養って・・・葵ちゃん、病気なの?」
葵 「うん」
葵 「それも、治らない病気やねん」
「え・・・?」
葵 「いつまで生きられるかわからへん、でも
もう長くないってことだけはわかる」
「え・・・」
「病気って・・何の病気なの?それに
ここじゃなくて病院に居たほうが・・・」
葵 「病名は・・・知らん」
葵 「珍しい病気とかで長い名前やから
覚える気にもならんし」
葵 「病院には居たくない、居てもどうせ変わらないし
ちゃんと医師の許可ももらってる」
葵 「死に場所くらい自分で決めたい」
葵 「だから今、ボクはここに居るんや」
・・・・・・
葵 「ボク、おかしいか?間違ってるか?」
「いや・・・そんな急に言われても
わかんないよ・・・」
「それに葵ちゃんは元気そうだから、そんな・・・
もうすぐ死ぬなんて考えられない」
葵 「そやな・・・」
葵 「自分でも信じられへん。今でも
走ったり、泳いだりして運動もできる」
葵 「話によるとな、この病気は徐々やのうて
ある日を境に急に悪化するらしい」
葵 「だから対応の仕方がないんやて、
それでも『それ』はこの夏起こるコトだけ分かってる」
葵 「それが明日になるか10日後になるか」
葵 「もしかしたら1分後にくるかもしれへん」
葵 「先の見えない恐怖ほど恐ろしいものはない・・」
「・・・そんな・・・・」
こんなに元気そうなのにもうすぐ死んじゃうのか?
全然考えられない・・・
葵 「ボクはこっちに来てずっと考えてた、
自分が何のために生まれてきたのか」
葵 「今までの17年間はなんやったんやろうって・・・」
「葵ちゃん・・・」
葵 「・・・・・」
葵 「なァキミ、まだ死にたいと思ってるか?」
葵 「まだ自殺なんて、考えてたりするんか?」
「・・・・・・・」
「わからない・・・」
葵 「・・・・・」
「生きる理由がないから・・・まだ何も
わかってないんだ・・・」
葵 「ホンマ・・分からんわ・・・」
葵 「なんで生きていける権利があるクセに
生きようとせぇへんのか・・」
葵 「人間は生きているだけでも・・価値があるのに・・・」
「・・・・・」
葵 「だから、ボク決めたんや」
「・・・・?」
葵 「キミ、ウチで暮らしぃや」
「・・・・は?」
葵 「ボクが生きてる間にキミのその腐った根性を
叩き直してあげる」
「え・・・?(汗)く、腐った・・・?」
葵 「イヤとは言わさんで、キミ自身のためや。
それにボク自身にも目標ができるんや」
葵 「キミを生きさせる、生きていることの
喜びや楽しさを教えたる」
「え・・?あ・・(汗)なんか勝手に話が
進んでいってるんですけど・・・」
葵 「よっしゃ、決まったな。えらい儲けモンしたで、キミ」
葵 「こんな可愛い娘と一緒に暮らせるんやで」
「・・まぁ・・・泊めてくれるって言うのは
助かるっちゃー助かるんだけどな・・・」
葵 「食事もな、78円じゃ生きていけんやろ」
「・・・・・・」
葵 「さて、帰ろか。明日からは『楽しいこと探し』や」
「・・・・・・」
楽しいこと・・・か・・・
見つかるのかな・・オレが・・・
その後、ばーさんが作ってくれていた晩メシを食べて
今日はもう寝ることにした
昨日、あんまり寝てなかったんでけっこう眠いな・・・
葵 「じゃそろそろ寝よか・・・ばあやももう
寝てるみたいやし」
・・・・・・
「ところで・・・」
葵 「ん?」
「俺、どこで寝るの?部屋は?客室とか」
葵 「・・・・・・」
葵 「よー考えたらココ、ベットあるの2部屋しか
ないんやった・・・・」
葵 「ボクとばあやでもう定員いっぱいや」
「おいおい、じゃあ俺はドコで寝ればいいんだよ?
まさかこのリビングのソファーとか・・・?」
葵 「あ、ええやんか。掛け布団ぐらいはあるやろうし
持って来たげる」
「おいおい・・俺もベットがいいんだけど・・・」
葵 「だからもういっぱいやねん」
「葵ちゃんと一緒に寝れば・・・」
葵 「アホか」
「・・・・・・・・・・」
たった3文字で俺の希望は否定された
葵 「んじゃ、ばあやと一緒に寝たら・・・」
「掛け布団を頼む、俺はソファーで寝たいんだ」
葵 「・・・・・・」
========== 8_181.SCO ==========
葵 「おーい」
葵 「おきろー、朝やでー☆」
う・・・
・・・・・・
どこだココは・・・・
あっそっか・・・昨日、俺は葵ちゃんの別荘に
泊まったんだっけ・・・
葵 「おはよう
くん」
・・・・・
・・・・・・・・
・・・・眠い・・・・・
くーくー・・・
葵 「あ、また寝おった、この男」
葵 「ホラ!起きぃや!!」
葵 「ばあやがもう朝ごはん作ってんねんで!!」
・・・うう・・・・
葵 「おはよう
くん」
「・・・おはよう」
だるい・・最近は早起きなんてしてなかったからなぁ・・・
「げ、まだ朝の7時だし・・・」
葵 「もう7時なんやで。ボクにとっては1分1秒でも」
無駄にしたくないんや」
・・・・・・
葵 「さ、朝ごはん食べよ?」
ふぅ、食った食った
朝ごはんのメニューは日本人らしく
白いご飯にお味噌汁など
朝ごはん食べるなんて高校以来かも・・・
葵 「ごちそうさまでした」
「さまでした」
ばあや「ふおっふおっふおっ・・・お粗末様ですじゃ・・」
「でたな、バルタン星人」
ばあや「お嬢様、今日のご予定はどうなされるのですじゃ?
ばあやは買い物にでかけますが」
葵 「うーん」
葵 「キミ、どうする?」
「いや、俺に聞かれても」
葵 「・・・・・・」
葵 「・・・よし、」
葵 「んじゃ今日は勉強会しよか」
べ・・・勉強っ・・・?!!
葵ちゃん、そんな急に大胆な・・・
葵 「ボク、何だかんだ言って
学校の成績はそこそこエエからな」
・・・・・
ちっ・・・やっぱりそっちの勉強か・・・
まぁ、もちろんわかってたけど
でも勉強って言ったって・・・
俺、勉強道具なんて持ってないんだけどな
・・・そういやここ4ヶ月まともに勉強なんて
してないしなぁ・・
正確にはこの前(半年前)の受験失敗以来か・・・
葵 「テキトーに参考書とか持って来たでー
さて頑張ってみよか」
・・・なんか不安だ・・・
葵 「まずはボクの得意な英語から行こか」
「ああああっ?!!」
葵 「ん?」
「メっ・・・眼鏡・・・っ?!」
いつの間にか葵ちゃんが眼鏡をかけていた・・・!
葵 「勉強の時だけかけるねん,ちょっと
見えにくいから」
葵 「眼鏡がどうしたんや?」
「くううっ・・!メガネっ娘だったのか!不覚っ!」
葵 「・・・・・」
葵 「キミも濃いやっちゃなー・・・」
========== 8_182.SCO ==========
葵 「Internet Causes Isolation・・・」
葵 「Study Says・・・」
・・・・
英語・・・半年触れてなかっただけで全く
分からなくなってやがる・・・(汗)
『英語は毎日やらないとダメ』ってよく言われたけど
よく分かったよ・・・
葵 「この訳わかる?」
「え?」
葵 「さっきのインターネットがどうとか言うてたやつ」
「・・・・」
「えーと、Causesはたしか『原因』とか言う意味で・・・」
葵 「名詞やったらな。この場合、Internetが主語になってるから
この場合は名詞として読むねん」
そうそう、確か予備校の先生がそんなこと
言ってたよーな
葵 「じゃあ、Isolationの意味は?」
@幻影
A孤立$/G]@0
「幻影・・・?」
葵 「それだとIllusionやろ」
葵 「これは『孤立』とか『孤独』とかの意味やねん」
「これは・・『孤立』とか『孤独』とかの意味じゃ
ないのかな・・・?たぶん」
葵 「ん、そやな。この文脈やと『孤立』の方が
あってるみたいやけど」
葵 「文章を訳すと・・『インターネットは孤立させる
もとである、という調査』みたいなカンジかな?」
葵 「この文はインターネットの善し悪しを
述べてるみたいやな」
「ネットか・・俺も一時期けっこうやったな」
でも偏ったサイトしか見てないけど
「葵ちゃんはインターネットとかやったことないの?
Eメールとかそーゆーの」
葵 「ふっ、自慢やないがボクはホームページを
運営してるんやで」
葵 「しかも最近はアクセス数も増えて
人気急上昇のページやで」
「へぇ、凄いね・・・で、何のページなの?」
葵 「・・・・・・」
葵 「・・・ん、何のページ・・・?(汗)」
葵 「・・・・・・・・ゲーム・・」
葵 「・そうゲーム攻略のページやねん」
「へぇ・・・葵ちゃんだったらネットアイドルの
ページとか作っても人気出そうだけど」
葵 「ボ・・・ボクはあーゆーのはニガテやねん
ちょっと恥ずかしーわ・・・」
いや、俺だったら毎日アクセスするだろう
ついでに掲示板にも書き込みなんかしたりして・・
日記のコーナーとかあったら嬉しくて
毎日見に行くと思うのねん(爆)
葵 「あと・・・そやな、ボクはテニス部に入ってたから
テニスの別ページも作ったな」
「ん?テニス?」
葵 「うん、こう見えてもテニス上手いんやで。実は
高校の頃、女子テニス部の主将やったんや」
「ほえ〜」
「奇遇だな、俺も学生時代はテニスをやってたんだ」
「まぁ・・・弱小だったけどね(汗」
葵 「え?」
そう、俺は中学、高校と6年間テニス部に入っていた
女の子にもてるかなと思って入ったんだけど
全然効果はなかったが・・・(汗)
でも続けていくと、純粋にテニス自体が好きになったんだよな
葵 「え?ホンマに?キミもテニス部やったんや!」
「ん、ああ・・・もう2年以上打ってないけどね」
テニス部の同窓会以来かな・・・あれからは
万年浪人生の俺は行きづらくなって・・・
葵 「なんやー、同じテニス仲間やないか。早よ言うてや〜」
「は・・はは・・・」
========== 8_183.SCO ==========
・・・げ、もうこんな時間・・・
葵 「あ・・・もう7時か。結局、ずーっと
テニスのコトだべってただけや・・・」
共通の話題ということもあり、二人は時間を忘れて
延々と話し続けていた
もうこんな時間・・・腹が減るわけだ
ばあや「お嬢様、
さん、夕食ですじゃ・・・
ふおっふおっふおっ」
「ばーさん、グッドタイミングだぜ」
まるで狙いすましたかのように現れたな・・・
もしかして見てたのか?
ばあや「ふおっふおっふおっ・・・」
見てやがった!ぜってー見てやがった!!(汗)
葵 「あ、そうや・・・」
葵 「
くん、明日出かけても大丈夫か?」
「え?」
葵 「この近くにテニスできる所があるねん、
あんまり大きくないけど・・・」
葵 「明日、日曜やし、行こ?」
「あ・・ああ、別にいいけど・・・」
テニスか・・・久しぶりだな・・・
ばあや「お嬢様、ここからだと少し遠いですじゃ・・・
あまり歩かれるのはお身体に・・・」
「あ・・・ちょっと遠いなら
俺が車、持ってるから大丈夫だよ、たぶん」
あ、でも・・・
「そういや・・・ラケットとか運動服がないよな(汗)
葵ちゃん、予備に持ってる?」
葵 「ううん」
葵 「とゆーか、実はボクもラケットとか持って来とらんねん」
「え・・・?じゃあ、どうするの?」
葵 「構わへんやん、ラケットもウェアもシューズも向こうで
まとめて買うたらええやんか」
ばあや「それもそうですな、ふおっふおっふおっ」
か・・買ったらエエって・・・2人分買えば
軽く10万円はかかるぞ・・・(汗)
金持ちの発想は凄いな・・・(^^;
葵 「よっしゃ!じゃあ明日は朝一番に出るで」
葵 「いやぁ、久しぶりのテニスや☆楽しみ〜」
げ・・・また早起き?
日曜日に早起きなんて考えたくないな・・(汗)
ばあや「・・・・・・」
ばあや「よかったですのぅ・・・お嬢様・・・」
========== 8_191.SCO ==========
葵 「おーい」
葵 「早よ起きぃやー、朝ご飯食べてテニスに行くでー」
・・・・・
葵 「おーい」
・・・う・・・・・・
テニス・・・・?
俺はもうテニス部じゃないぞ・・・
・・もう4年前に辞めたんだ・・・・・
最後の夏の・・・
葵 「起きろ〜、朝だよ〜、朝ご飯食べてテニスに行くよ〜」
・・・・・
・・・・?・・
どっかで聞いたセリフが・・(汗
葵 「あ、やっと起きた」
葵 「キミ、低血圧なん?健康管理がなってないで〜」
葵 「ってボクも病人やからヒトのこと言えへんな、ははは」
「・・・・・・」
「・・・テニス?」
だから俺はテニスは・・・辞めたんだ・・・
あの時・・・
・・・って、アレ?
葵 「ホラ、寝ぼけとらんでしっかりしぃや
ゴハン食べてスポーツ店に行くで」
あっそーか・・・
俺は今日葵ちゃんとテニスする
約束だったんだ・・・そうそう
昔の・・・あの事は昔の話だ・・・
葵 「うーん、ウデが鳴るわー☆本ト久しぶりに
テニスが出来るんやぁ〜」
「久しぶりか・・・でもこの前までやってたんなら
まだ1ヶ月くらいだろ?」
「俺なんてもう4年・・・ほとんどやってないんだぜ」
葵 「大丈夫やて、高校の頃は学校の1番手やったんやろ?
昨日、言うてたやないか」
「・・・ウチは弱小だったからな・・・」
葵 「ええから、早よ用意して行こ」
葵 「時間がもったいないやろ?」
葵 「それっ!!」
「うおおおおおっ?!!」
葵 「なんやー、これくらいのボール捕れな
ボクの相手できへんでー!!」
「てやぁぁぁ!!」
「ぐうううっ?!」
く・・苦しい・・・(汗)4年間のブランクがこんなに
大きいものだとは・・・
この前まで現役だった葵ちゃんの打球に
追いつくのがやっとだ・・・
葵 「打ち込みいくでー!!」
「ぐおおおおおっ?!」
葵 「なんやー、結構やるやない・・・かっ!!」
くそー!!葵ちゃんの球、速いし重いし・・・
こりゃ女子のレベルだと相当上手い方じゃないのかな・・・
・・・でも・・・・
・・・でも、絶頂期の俺と比べたら・・・
「あっ!!」
葵 「あー惜しいな、ネットや」
葵 「でも最初と比べたら全然打てるようになってんなぁ
キミ、ホントに上手いな」
「そう・・・だな。だいぶ思い出してきたよ」
そう、4年のブランクで頭では忘れていたが
いざ打ってみると体が勝手に動いた
忘れたはずの打ち方も身体が覚えていたのだ
・・・それでも絶頂期の何分の1かも・・・
男1「プッ、あれ見ろよ」
男2「へへっ、男の方が女に振り回されてるぜ」
・・・む・・・
俺達の事を言われてる・・・
はたから見ればそう見えるのか・・・(汗)
俺って情けないかも・・・
葵 「何やて・・・」
「え?」
男1「ん?」
葵 「別にエエやないか!女の方が上手くて
何か文句あるんか?」
「あ・・葵ちゃん・・・そんな事・・・」
男1「別にンな事言ってねーだろ、女がどーのこーの」
男2「そっちの男がかわいそうだなって言ってんだよなー」
「いや・・・俺は別に・・・」
そう、俺は葵ちゃんのパンチラ見てるだけで
十分幸せだし・・・
葵 「そんなことないで!
くんはホントは上手いんや!」
男1「え〜、そうは見えねェなァ」
男2「なんかへっぴり腰だよな、けけけっ」
それはパンチラがよく見えるように少し
前かがみになってるだけで・・・
葵 「なら勝負や!ボクと
くんの強さ見せつけたる!」
・・・・
・・・はい?
葵 「うりゃ!!」
男1「フンッ!」
葵 「てりゃあっ!!」
・・・葵ちゃん、めちゃくちゃ気合い入ってる・・(汗
お・・怒るとコワイんだなぁ・・・
男2「へっ!!いくぜっ!!」
「ぬおっ?!!」
・・・・・
・・・あいつらも何だかんだ言ってやっぱり
そこそこ強い・・・
現に今、俺と葵ちゃんのペアは苦戦している
男2「けけっ・・やっぱり大したコトないんじゃないの?」
「・・・・・」
葵 「あっ?!」
葵ちゃんの打ったボールが勢いよくネットに当たって
はじかれた
そして、残念ながらそのボールはこちらの
コートに落下した・・・
葵 「あ・・・」
男2「けけけっ、ラッキー♪」
男1「へへ、運がなかったなぁ、ねーちゃん」
葵 「く・・・」
葵ちゃん・・大丈夫なのかな・・病気なのに
あんなに動いて・・・
「葵ちゃん・・・無理しない方がいいよ」
「この炎天下の中、そんなに動いたら身体の方が・・・」
葵 「・・・・・」
葵 「・・わかってる・・・」
葵 「わかってるけど・・・」
「葵ちゃん、もう無理しないで・・・大丈夫」
「・・あとは・・・俺が何とかするから」
葵 「え・・・?」
「こうなったら・・・あの技を使ってでも俺は
勝ってみせる・・」
葵 「あの技?」
そう、俺が学生時代にあみ出した技・・・
最初にして最後の俺の『魔球』を・・・
あまりにも強すぎるから封印していたのだが・・・
男1「おい、そろそろ次のセットいくぜー」
男2「けけ、次もいただくよん」
「いくぜ!!俺の本当の力を見せてやる!!」
男1「おっ?」
========== 8_192.SCO ==========
・・・戦いは終わった・・・
気がつけば、辺りは夕方になっていた・・・
そして、試合の結果は−
葵 「・・・・・」
「・・・・・・」
俺達は負けた
・・・何とか必死で最終ゲームまで持ち込んだが
結局、あと一歩の所で負けてしまった・・・
あいつらは、試合が終わるとさっさと帰っていった・・
・・・・・
・・・あいつらにはテニスより先に学ぶべき事が
あるみたいだな・・・
葵 「・・・・・・」
葵 「ごめんな・・・
くん・・・」
「ん?」
葵 「キミがずっと頑張ってくれてたのに・・・」
葵 「・・ボクは何もでけへんかった・・・」
葵 「結局、途中からただの足手まといやった・・・」
「そんな事ないよ、葵ちゃんが上手く球をつないで
くれてたから、俺も調子が出てきただけで・・・」
葵 「なんとかつないでただけや・・・あとは全部
キミが点取ってたんや・・・」
「・・・・・」
「葵ちゃん・・・」
「それにしても何であんなに怒ってたの?
あいつらの一言で・・・」
「女のコだからどうとか言ってきたから?」
葵 「・・違うねん・・・」
葵 「あいつら・・・」
葵 「あいつらが・・キミの事を馬鹿にしとったやろ
情けないって言うて・・・」
葵 「それが許せんかったんや・・・キミが馬鹿にされて
ボクは黙ってられへんかった」
葵 「ボクは・・・自分よりも友達とか、仲間が馬鹿に
されるほうがよっぽど頭にくるんや・・・」
「・・・・・・」
葵ちゃん・・・・
「・・葵ちゃん・・・こんな話があるんだ・・・
ひとつ聞いてくれるかな」
葵 「・・・・・・」
「一人の男の子がいてさ、そいつはテニスが好きで
毎日テニスの練習をしてた・・・毎日・・・」
「そのテニス部は大して強くなかったけど・・」
「そいつはテニスが好きだから、それでよかった」
葵 「・・・・・・」
「そいつは高校最後の夏、ついに最後の大きな
テニスの大会を目前にしていたんだ」
「来る日も来る日も練習して・・・」
「そんなある日」
「その子は練習の時、転んでしまった拍子に
ラケットと地面の間に指を挟んでしまった」
「・・・たったそれだけの事で、指の骨を
折ってしまったんだ・・・」
「目の前にあった最後の大会に出られなくなった」
葵 「・・・・・・」
葵 「・・そんで・・」
葵 「・・そんで・その少年は・・・どうしたんや?」
「大会に出れなくて、何を思ったかそのまま
テニス部を辞めてしまった・・・」
「そいつは・・何を考えていたんだろうな・・・本当に」
「そのまま少年は何年もテニスをしなくなった
軽い気持ちで出た同窓会にも・・・」
「皆からの視線に耐え切れず、すぐに
帰ってしまった・・・」
葵 「そしてその少年は・・・・」
葵 「今日、4年ぶりにテニスをしたんか・・・」
「・・・・ああ」
「でもその少年はかわいい女の子とペアを組んで
まんざらでもないみたいだな・・・」
葵 「・・・試合には負けたケドな」
「負けてなんかないさ」
「さっきの試合の目的は勝つことじゃない
俺達の強さを見せてやることがそれだったんだ」
「俺は負けたつもりはない、アイツラの方だって
勝った気でいるはずがないんだよ」
葵 「・・・・・んか・・・」
「・・・え?」
葵 「でも・・やっぱり悔しいやんか・・・・」
葵 「ボクの・・・最後のテニスが・・・・
負け試合なんて・・・・」
「・・・・・・」
葵 「キミと一緒にテニスできたんは嬉しいけど・・・」
「・・・・・・・」
葵 「ゴメンな、ワガママ言うて・・・・」
「よし、じゃあ打とうか」
葵 「え・・・・?」
「まだボールは見えるよ」
「今から俺とシングルで試合しようか」
「久しぶりだったから俺は身体ボロボロだし
頑張ったら勝てるかもよ」
葵 「・・・よう言うわ、朝だったらボクの方が
全然強かったのに・・・・」
「はは・・・、じゃやろうか。もう俺達だけだし
なんか貸切みたいだな」
葵 「・・・
くん・・・・」
「ん?」
葵 「・・・ありがとう・・」
「・・・・・」
この日、俺達は暗くてボールが見えなくなるまで
一緒に打ち続けた
悔しくて泣いていた葵−
俺のために泣いてくれた葵−
そう、その時すでに俺は・・・
葵の事が好きだったんだ・・・・
========== 8_201.SCO ==========
・・・・・・
痛い・・・・・
痛い痛い痛い・・・・
痛い痛い痛い痛い痛い痛い×10・・
葵 「おーい、起きぃやー」
葵 「・・・って、アレ?もう起きてるやん。珍しいな」
葵 「ようやっと早起きが身についてきたみたいやな
ええことやで〜、規則正しい生活は」
「・・・・・・・」
「違う、体が痛くて起きたんだ・・いつつ・・・」
葵 「・・・・・・・」
葵 「なんや、筋肉痛か。もろい身体やなー」
そう、俺の身体は極度の筋肉痛でボロボロだった
昨日のテニスがここまでくるとは・・・(汗)
「痛い・・痛すぎる・・・このままでは俺は
筋肉痛で死んでしまうかもしれん・・・」
葵 「筋肉痛で死ぬか」
「死ぬ前に一度でいいからセーラー服の女の子に
ヒザ枕で耳かきしてもらいたい・・・」
葵 「・・・・・・」
「さあ葵ちゃん・・・俺の願いを・・・」
葵 「ばあやー、
くんが耳かきして欲しいんやて〜」
「さあ!葵ちゃん、朝ゴハン食べようか!
今日もマイハートは日本晴れだ!!」
「ぐああっ?!!」
葵 「・・・・・」
か・・・身体が言う事を聞かない・・・・(汗)
い・・痛すぎるぅ〜
あ・・・葵ちゃん・・・・助け・・・・・
葵 「・・・・・・・」
葵 「・・・ゴハン食べよっと」
・・・・・・・
は・・薄情モン・・・・(泣)
結局、今日は俺の身体が動かないし、昨日たくさん
動いた後の休みということで・・・
リビングでゲーム大会という事になった
葵 「てやっ!!」
「うおっ?!やるなっ、25コンボか・・・」
今は某アクションゲームで対戦している
これまた葵ちゃん・・・なかなか上手いんだよな・・・
俺もこのゲームはそこそこやりこんでいるのだが
葵 「喰らえ超技!!体力半分持ってくでぇ!」
「ムキ−!死ぬ気でガード!!」
葵 「ムダや!このキャラにはガード崩しの技が
隠されてるんや!!」
げ、そんな技あったか?
葵 「遊びは終わりや!!」
くぅっ!このゲーム自体が遊びじゃないのかと
ツッコみたい・・・!!
どうする?!
@無敵対空で迎撃
A緊急回避$/G]@ウ
「くっ!無敵対空でしのぐ!喰らえ!!
しょーりゅ・・・・」
葵 「甘い!その技の無敵時間は2/60秒や!!
しかもその後はアタリ判定が広い!!」
「ああっ?!」
「ちっ!ここは緊急回避で凌ぐ!」
俺はAボタンとBボタンを同時に押した
それによってキャラが超必殺技を避けた
「どうだ!当たらなかったぜ!!」
葵 「甘い!!」
葵 「必ず殺すと書いての必殺技や!ここで・・繋げる!!」
「なにっ?!超必殺技のコンボ?!」
あの激難しいコマンドをあっさりと入力しただとっ?!
葵 「楽には死なへんでー!!!」
「ああっ?!」
葵 「燃え尽きろー!!」
ドコォォォ・・・・
「ぐはあぁぁ・・・葵ちゃんに萌えつきた・・・」
葵 「・・・・・・・」
葵 「・・・漢字違うで・・・・・」
「いやー、葵ちゃん凄いなぁ・・めちゃくちゃ強いよ」
葵 「へへへ〜☆」
「やたら技に詳しかったりするし、難しいコマンドも
あっさりと出してるし・・・」
葵 「にゃはは、ゲームおたくの力は偉大やで」
そういやゲーム攻略のホームページを運営して
いるって言ってたもんな・・・
強くて当たり前か(^^;
葵 「ん、でも面白かったわ、久々に対戦できて楽しかった」
葵 「ばあやもそこそこ上手いけど、あんまり長い間
でけへんらしいし」
「え?ばーさんもゲームやるの?」
葵 「肩こるらしいからあんまりせぇへんけど・・・
そこそこ上手いで、ホラ」
ばあや「ふおっふおっふおっふおっ・・・・」
え?!ば・・・ばーさん!いつの間にゲームを
プレイしてたんだ?!(汗)
ま・・・全く気付かなかった・・・・・
お・・・恐るべし・・・
さすがは宇宙忍者バルタン星人・・・
ばあや「いかがかな?べっぴんさん・・・私はお嬢様ほどでは
ありませんがお手合わせ願えますかな?」
「ふ、いいだろう。売られたケンカは消費税込みで
買ってやるぜ!勝負だ!!」
========== 8_202.SCO ==========
くうっ!!
いけっ!!ここだっ!!
いけー!!・・・・・あ・・・
負けた・・か・・・
ばあや「ふおっふおっふおっ・・・勝てましたのう・・・」
「これで64戦中32勝32敗・・・・・
まさに互角・・か・・・」
「ばーさん、次の勝負で決着をつけるぞ!」
ばあや「はいはい・・・・」
・・・・・・・
もうこんな時間か・・・腹減ってきたな
ばあや「あらら・・・そろそろご飯を作らなくては
いけませんのう・・・・・」
「なに?」
「ばーさん、逃げるのか。俺との勝負はどうなるんだ?」
ばあや「・・・夕飯が要りませんでしたら決着をつけましょう
かのう・・・ふおっふおっ・・・」
「勝負はお預けだ。命拾いしたな、ばーさん」
ばあや「ふおっふおっふおっ・・・」
「・・・あれっ?」
「そういえば葵ちゃんの姿が見えないけど・・・
いつの間にいなくなったんだ?」
ばあや「ずいぶん前にお部屋に戻られると言って
出ていかれましたな」
・・・・部屋・・・・・
そういやここに来て4日になるけどまだ葵ちゃんの部屋に
はいったことないなぁ・・・・
女の子の部屋に入る理由もないし・・・なにより
いつもずっと葵ちゃんと一緒にいたからな
「葵ちゃん・・・部屋で何してるんだろう?
読書とかかな・・・?」
ばあや「お嬢様はアレですじゃ・・・ほら、パソコンとかの・・
それをしておられるらしいのですじゃ」
そっか、ホームページ開いてるし、インターネットとか
やってるのかもしれないな
ゲームおたくと言い・・・結構電脳少女だな
・・・よし!
遊びに行こう!!
ドタドタと階段を上がり、葵ちゃんの部屋の前に立つ
二階に上がるのは初めてだが、ドアの前の標札で
葵ちゃんの部屋であろうと分かる
まさかばーさんがこんなの飾らないだろ・・・たぶん
さて・・・
この先には秘密の花園が・・・!
今、人類は月面に2本の足で初めて降り立つのだ!!
いざ往かん!アームストロング船長の
名にかけて!!(意味不明)
「こんこんこ〜ん♪」
「開けてく〜だしゃ〜い♪」
どこかで聞いたセリフで葵ちゃんを呼ぶ
・・・・・・・・・
「・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・
「・・・ん?居ないのかな?」
でも「在室中」って札がかけてあるし・・・
そこにある2階のトイレの電気も点いてはいない
・・・どうしたんだろう?
葵 『病名は・・・知らん』
葵 『珍しい病気とかで長い名前やから
覚える気にもならんし』
葵 『その病気は急に・・・・』
・・・・・!!もしかして・・・
その病気が急に・・・?!!
「葵ちゃん!!!」
カギはかかっていなかった
そして・・・その先には・・・・・
・・・・・・
・・・・居た・・・・
ヘッドホンをつけたまま、パソコンをしていた様だ
だから聞こえなかったのか・・・・
「葵ちゃん、あーおーいーちゃん!」
葵 「・・・ん?」
葵 「・・・あ・・・・」
「やあ、パソコンしてたんだね。インターネットとか・・・」
葵 「わああああぁっ!!」
「え?」
パソコンは普通の標準のデスクトップだった
タワー型みたいで、最近流行の軽量でコンパクト
かつ、高性能の最新型だ
だが、それよりも目を引いたのはディスプレイで
その画面には・・・・
葵 「うわあああっ!!何で勝手に入ってきてんねん!!
出てって!出てってやー!!」
あのCGは・・・確か・・アリセソフトの最新作・・・・
「『Only Me〜リクルス〜』・・・?」
葵 「・・・・・」
葵 「・・・な、なんや、知っとるんか・・・」
「まあ、アリセのゲームは俺もよくプレイするから」
「葵ちゃん、アダルトゲームもやるんだね」
葵 「あう〜!」
葵 「見つかってしもうた〜!恥ずかしいわ〜(恥)」
「えっ・・?なんで?何で恥ずかしいの?」
葵 「・・・女の子がエロゲーやってるの人に見られて
恥ずかしないワケないやろ」
葵 「・・・せやからこのコトは一切他言無用や!」
葵 「・・もし話した時は・・・・」
葵 「・・・アナタを殺しまふ・・・・」
葵ちゃん・・・
某葉っぱの「傷跡〜きずあと〜」もプレイしてるんだな
・・・そのセリフからして
「いいじゃん、別に。最近はアダルトゲームしてる
女の子もたくさんいるし」
「有名な良作ゲームはヘタなドラマや映画よりも
よっぽど興奮や感動を与えてくれるしね・・・」
葵 「・・・・・」
葵 「で、でもひとつだけ問題あるねん・・・・」
「・・・・?」
葵 「・・・・・」
葵 「ボク、17歳やねん・・・・」
・・・・・
・・・・・・・・
・・・ぐはっ・・・
「た、確かにそれは由々しき問題だ・・・(汗)」
葵 「せやろ?・・・」
葵 「ヘタしたらこの『夏桜』最大の
ピンチかもしれへん・・・」
なんだかよく分からない事を言う葵ちゃん
葵 「せやから・・・この事は絶対に他の人に
話したらアカン、話したらアカンで!」
「あ、ああ・・・」
でも他の人に話すなって言っても・・・話す相手が
いないんよーな気もするが
「・・・ん・・・?」
「・・・あ、すごいコレ・・・」
葵ちゃんのゲーム置き場に目をやるとそこには
有名どころも隠された良作もかなりあった
「うわ、これって限定生産でもの凄く数の少ない
アルフの『大人の桃缶』だ・・・」
「これ、生で見るの初めてだ・・・」
葵 「へへへ、えーやろ。ボクの父さまが本社から
貰ってきてん」
「え?葵ちゃんのお父さんが・・・?」
「お父さんがパソコンゲーム好きなんだ」
葵 「・・・とゆーか、父さまはゲーム会社の社長やってん」
葵 「だから、そっち方面にもコネが効いてボクの分を
貰ってきてくれるんや」
そーゆーのは職権乱用というのでは・・・
そうか、ゲーム会社の社長令嬢だったのか・・・
・・・って・・・ん?!
「あああっ?!!これはkeeの『SORA』の初回特典
としてついてくる『SORA』の激レアカレンダー?!」
「俺はコレが欲しくて秋葉原で2日間、夜を過ごしたが
それでも手に入らなかったのに・・・!」
葵 「ふふふ・・えーやろ。それも父さまがサクッと貰って来た」
葵 「サクッとな、サクッと☆」
職権乱用だ・・・ぜってー職権乱用だ・・・
俺は、そのカレンダーの為に寝袋まで買ったのに・・・
どれだけの体力と時間と金を使ってそれでも
入手できなかった
「それをサクッと手に入れるか・・・サクッと」
葵 「持つべきものは権力やで・・・兄ちゃん」
「くっ・・・だがな、庶民は庶民なりの努力と工夫を
・・・って、あれ?」
「こっ・・これは!去年の夏コミで生産数100コという
幻の激レアアイテム『ミレニアムでじご』だとっ?!」
葵 「あー、それも父さまがサクッと・・・」
「畜生!畜生!!これを手に入れる為に俺は同じ戦士・・・
同士を1人失ったんだ・・・!!」
俺は遠い目になった
「ヤツは・・いいやつだった・・・コレを手に入れるため
命をかけていたといっても過言ではない・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
「あの日、有明には雨が降っていた・・・
そう、今日のように・・・」
葵 「今日、雨降っとらへんで」
「ヤツは必死で戦った」
「そう、俺達の分まで・・・」
葵 「なんや、頼んどったんか」
「だがヤツは・・・目の前にして・・・!目の前で
最後の100コ目が売り切れてしまった・・・」
「ヤツは・・・こう言ったよ・・・」
「『すまねぇ・・俺はもうダメだ・・・疲れたよ・・・
へへっ、戦場で散るのも悪かねぇ・・・』」
「ジョニー!しっかりしろ、ジョニー!!」
葵 「・・・ジョニー?」
「『最後に・・言っておくぜ・・・戦友よ・・・』」
「『うさだには気をつけろ・・・!自分を見失うな!
俺達はあくまでも・・・でじご命だ!!』」
「ジョニー!!」
「『アデュー・・・戦友・・よ・・・ガクッ』」
「ジョニーィィィ!!寝るなぁ!寝たら死ぬぞぉっ!!」
パシンッ!!
「『ハッ・・ぶったね?親父にもぶたれたことないのに!』」
「・・・・・」
「・・・とまあ、黄金パターンを順調にこなして,それ以来
ヤツの姿は見ていない・・・」
葵 「熱いのう・・・」
その晩、俺は葵ちゃんの部屋のレアグッズを漁り続けた
そこはまさにマニアにはたまらない空間であった
しかし、そこは女の子の部屋だという事もあったために、
俺が下着まで漁って葵ちゃんに追い出されるまで・・・
その夜は濃い話は続いた・・・
========== 8_211.SCO ==========
葵 「起きてっ!早くっ!!」
・・・ん?
葵 「早よ起きぃや!!もうっ!」
・・・なんだ?朝から・・・葵ちゃん、急いで・・・
ポカッ
「いてっ!」
葵 「早よ隠れるんや!急いで!!」
え・・・?ええ?
ばあや「お嬢様、こちらですじゃ」
葵 「うんっ!ばあや、よろしく頼むで!」
な・・なんだなんだ?!
話が全然見えてこないぞ・・?
起きたばっかで頭が朦朧としてるし・・・
葵 「ここや、早く隠れて!!」
えっ・・・?あっ・・・
リビングの一角を外すと、そこから小さな穴が現れた
一種の物置みたいなもんだろうけど・・・
うわぁ?!!
・・・・・・
・・・いきなりそこに突き落とされた・・・
つーか頭をちょっと打って痛い・・・
ドンッ!
「うぷっ?!!」
な・・・なんだ?いきなり上に柔らかい物が・・・
「あ・・・葵ちゃんの・・・」
葵 「しぃっ!静かにしぃや!絶対に今から
声出したらアカンで!!」
こ・・声出すなって言ったって・・・この体勢では・・・
くぅ・・なんて柔らかい身体なんだ・・・
・・・ん?ドアが・・・
男の声「お久しぶりですな、勝手に上がらさせて
もらいましたよ・・・」
ばあや「ふおっふおっ・・・お久しゅうございます」
・・・誰が来たんだ?って言うか何で俺と葵ちゃんが
隠れなきゃならないんだ・・・?
もしかしてヤバい相手なんじゃ・・・
ばあや「1週間ぶりですかなぁ・・・お元気にしておられた
でしょうか?ふおっふおっふおっ・・・」
男 「それはこちらのセリフですよ・・・お嬢様はまだお元気で?」
男 「・・・・・・」
男 「・・・ところでそのお嬢様の姿が見られないようですが」
葵ちゃんの事をお嬢様と言ってるって事は・・・
葵ちゃんの会社の人かな・・・?
・・・・
それにしても・・・暑い・・・(汗)俺も葵ちゃんも
すでに汗が出てきている
・・・ん?こ・・・これは・・・(汗)
ばあや「お嬢様は今、ご友人とテニスに行っておられますじゃ
安心してくだされ・・・」
男 「ふん・・・」
男 「ならばなぜあなたが同行していない?」
男 「お嬢様の緊急の際にはあなたがそばに居なければ
ならないはずでしょう?」
男 「あなたがお嬢様の専属医としてお嬢様のそばに居る・・・」
男 「それが許されたゆえ、お嬢様の死までこの別荘で
暮らす事を許されたのだ」
ばあや「・・・そうでしたかのう・・・・」
ばあや「だが安心してくだされ・・・お嬢様は今、本当に
生きる事を楽しんでいますじゃ・・・」
男 「・・・・」
男 「だが私どもとしてはお嬢様には1日でも長く
生きていてもらいたいのですよ」
男 「だから、病院に居て欲しい」
ばあや「だからと言って無理に連れて行こうとするのは
お嬢様の本意ではありませんですじゃ・・・」
男 「・・・そうですね、先週もそれでさんざん泣かれたのは
本当に参りましたよ・・・」
・・・そうか、あの人は葵ちゃんを病院に連れて行こうと
しているんだ・・・
それが嫌だから・・・葵ちゃんは隠れて・・・
・・・・・・
・・・うぐ・・・・(汗)
・・・それにしても暑い・・・(汗)もう俺も葵ちゃんも
汗だくである・・・
本来なら1人で隠れるはずのこのシェルターも2人で入ると
かなりきつく・・・暑いし・・・それになによりも・・・
・・・・・・・・
・・・うう・・・葵ちゃんがいい香りだし・・・・
柔らかいし、ムチムチしててさらに狭い密室で汗だくで
密着し合っているのだ・・・
これで音を立てるなというのだからまさに
天国の中の地獄である
・・・はふ・・・ホントにいい香りするし・・・
柔らかくて気持ちいいし・・・(汗)
ぐっ・・・朝からこんないい事があって俺が
ガマンできるハズがない
「・・・・・・」
つーっと葵ちゃんのフトモモを撫でる
葵 「?!!」
そのままあそこに・・・
ゴキッ!!
「うぐっ?!!」
男 「・・・おや?」
ばあや「・・・・・・」
ピッ
男 「何でしょう・・・今、声のようなものが聞こえたと
思ったのですが・・・」
ばあや「声ですとな?ホラ・・・テレビの音じゃて・・・」
ばあや「いまちょうどプロレスの特番やってますじゃ」
男 「いえ・・・声が聞こえたのはアナタがテレビを
つける前に・・・」
ばあや「・・空耳ではないですかのう・・・お互いにもう
歳ですじゃ、聞こえてしまうモンじゃて」
ばあや「そうそう・・・昔からこの辺りには若い女の幽霊が
出るとよく言われましてのう」
ばあや「『それ』に好かれたのかもしれませんのう・・・
ふおっふおっふおっ・・・」
男 「・・・・・・・・・」
男 「ふっ・・・」
男 「まぁよろしいでしょう・・・」
やるなばーさん、かなり無理のある会話だが上手く
相手を流したみたいだ・・・
・・・・・
葵 「・・・・・・」
葵ちゃんがすごい形相でこっちを見ている・・・(汗)
脚に触った事を相当怒っているようだ
目が完全に座っている・・・
葵 『今度この状況下でヘンな事したら・・・』
葵 『殺ス』
・・・・(汗
『でも、この状態で俺の理性があと何分もつか・・・』
葵 『殺ス』
・・・・・・・・(汗汗汗
もちろん俺たちは声を出してはいない
この、緊急時におけるアイコンタクトで全ての情報を
やりとりしているのだ
それゆえに、葵ちゃんからの殺気が痛いほど
感じられる・・・
イカン・・・イカン・・・イカン・・・もうこれ以上
何もしてはいけない・・・頑張れ、俺の理性・・・
大丈夫、大丈夫だ・・・自分との戦いなんだ・・・
負けてたまるか・・・
1分後−
俺はペタペタと葵ちゃんのフトモモを触っていた
燃えるような暑さと萌えるような感触に俺の思考回路は
完全にマヒしていた
葵 「!!・・・!!・・・っ!!」
葵ちゃんが上で必死にもがくが、これは思いっきり
逆効果である
密着してる身体がこすれ合って・・・ああ・・
もう俺はそれだけでイっちゃいそうな感じに・・・
・・・ん?
ばあや「お嬢様・・・もう出て来ても大丈夫ですじゃ・・・」
ばあや「あの者はもう帰りましたので・・・」
「・・・はぁ・・・あ・・暑い〜」
リビングに効いている冷房がどれだけ気持ちよかった事か・・・
・・・ん?
そういや、気持ちいいと言えば・・・
葵 「・・・・・・」
・・・・・(汗)
俺と同じく汗だくで顔を真っ赤にしている葵ちゃん・・・
・・・・・・・・・(大汗)
まだ汗が出てくる・・・
いや・・・これは冷や汗というものなのか・・・
「え、えーと・・・葵ちゃん・・・」
葵 「このエロガッパがぁぁぁぁ!!!」
バキィィィィ!!!
「ぐはぁぁぁぁぁ!!」
葵 「うわーん!!」
・・・ぐ・・・グーでおもいっきり・・・(汗)
ばあや「・・べっぴんさん・・・若いですのう・・・・」
「う、うるせー・・・」
・・涼しい所に出て考え直してみると・・・俺はバカな事を
してしまったな・・・と思う
葵ちゃんの気持ちも考えずに勝手に触りまくって・・・
あれじゃレイプしたのと一緒だ・・・
ばあや「・・・べっぴんさんん、ズボン洗っておきますから
脱いでくださいな、ホレホレ」
「ん?何で・・・え?」
・・・ズボン・・・・・
・・・いつの間に出していたんだろう・・・(汗)
ばあや「若いですのう・・・」
うぐ・・・(汗)
========== 8_212.SCO ==========
・・・・・
あれから葵ちゃんはずっと部屋に篭っている・・・
もしかして泣いているのかな・・・
俺のせいで・・・
・・・・
ばあや「べっぴんさん、そろそろ夕飯ですじゃ」
「ん、ああ・・・すまねぇ」
「ところで・・・葵ちゃんは・・・?」
ばあや「お部屋の方に夕食をお持ちいたしましたじゃ
怒っているようですのう・・・」
ばあや「ふおっふおっふおっ・・・」
「・・・・・・」
「ばーさん、ひとつ聞いてもいいか?」
ばあや「・・はい?」
「朝来てたあの男・・」
「そいつが言っていた、先週もここに来たって・・・」
ばあや「そうでしたな、ちょうど1週間前になりますじゃ」
「アイツに連れて行かれそうになって・・・葵ちゃんが
泣いてたって・・・本当か?」
ばあや「・・・・・・」
ばあや「そうでしたな・・・あの時、お嬢様はずいぶんと
お泣きになっておりました」
ばあや「だからあの方達も去っていったのですが」
「なんで葵ちゃんはここに留まろうとしてるんだ?
ばーさんみたいな介護人まで付けて・・・」
ばあや「さぁ・・?詳しい事は私にも教えてくださらないですじゃ」
ばあや「・・・ただ・・・・」
「ただ?」
ばあや「ここが思い出深い場所で、死ぬならココで死にたいと
おっしゃっておられました・・・」
「思い出深い・・・」
何か・・・大切な思い出があるのかな?
ばあや「ですが・・・」
ばあや「今は・・・今のお嬢様は
さんと一緒に居る事が
目的みたいですじゃ、本当に楽しそうで・・・」
ばあや「
さんが来る前は、お嬢様もずっと悲しい顔を
しておられました・・・」
ばあや「私の方からお願いしますじゃ・・・出来るだけ今は
お嬢様の側に居てあげてくださいな・・・」
・・・・・
・・2階の葵ちゃんの部屋の前に立つ
葵ちゃん・・・起きてるといいけど・・・・
「葵ちゃん?俺だけど・・・」
「・・・・・」
返事がない
やっぱり怒っているのかなぁ・・・
「葵ちゃん、今朝はゴメン、本当にゴメン」
「謝っただけで許してもらえるとは思ってないけど
せめて俺の前で怒って欲しい」
「葵ちゃんが閉じこもっていたら・・・俺もちゃんと
謝れないから・・・・」
・・・・・
「明日はちゃんと会いたい。ちゃんと謝りたい」
「だから・・・」
・・・俺は淡々と話し続ける、相変わらず葵ちゃんからの
反応はない
それでも俺は話しかける
「明日どこかに行こう、今日も昨日もずっと家に居たんだ」
「葵ちゃんにとっても残ってる時間は貴重だから・・・」
「少しでも、思い出を作りに行こうよ」
「・・・・・・」
「今日は遅いから・・・もう、おやすみ・・・」
「また明日ね・・・」
・・・・・・
葵 「・・・・・・・・」
葵 「・・・うん・・・・・」
========== 8_213.SCO ==========
葵 「・・・あれ?」
葵 「珍しいなー、この辺りに犬がいるなんて・・・
ボク気付かなかったよ」
犬 「クゥ〜ン・・・クゥ〜ン・・・・」
なんやろ・・・これ・・・
そうや、昔・・・この別荘に来たとき・・・
葵 「キミ、お腹すいてるの?ボクがなんか食べ物
持ってこようか?」
犬 「クゥン・・・」
葵 「うん、じゃあ持ってくるね、ここからだとちょっと
時間かかっちゃうかもしれないけど・・待っててね」
昔・・・退屈だった別荘暮らしの中で、少し離れた場所で
犬を見つけたんや・・・
確か・・・その後・・・・・
葵 「はい!もってきたよー、遅くなってゴメンね」
犬 「ワォン!!」
葵 「おお・・・食べてる食べてる。よっぽどお腹が
空いてたんだねー」
葵 「ねぇ、それ食べ終わったら一緒に遊ぼうよ!」
葵 「ボク、1人で遊んでてもつまらないし・・・
少しの間だけでいいからさ」
犬 「ワン!ワン!ワン!」
葵 「わっ!!びっくりしたなぁ・・」
葵 「・・・でも、イイって事かな〜」
葵 「よし!じゃあ行こ、海で遊ぼうよ」
犬 「わん!」
葵 「あ、ちゃんとついてきてる〜☆にゃはは」
・・・・・・
そうや・・・あの時、あの犬と友達になって・・・
それから・・・・・
========== 8_221.SCO ==========
声 「起きて・・・」
声 「起きて・・よ・・・」
ん・・・
葵ちゃんか・・・?機嫌を直してくれたのかな・・?
声 「起きて・・・朝ご飯・・・・・」
ああ・・・葵ちゃん、朝ご飯よりキミを食べたい・・・
「葵ちゃん!!」
ガバッ!!
ばあや「いやん☆」
「うおおおおおおおっ?!!」
「出たあぁぁ!!こんな所に捕まえそこねた火星からの
未知生命体がっ?!!」
「NASAだっ、NASAに緊急出動の要請を・・・」
ばあや「おはようございますじゃ、朝ご飯できとりますぞ」
「む・・むぅ、火星からの使者は流暢な日本語まで
話せるのか・・・学会に発表だ!!」
葵 「朝からうるさいわねー・・・」
・・・・え?
葵 「・・・・・・」
「あ、葵ちゃん・・・」
よかった・・・ちゃんと顔を見せてくれた・・・
もしこのままずっと会えなかったら・・・
ばあや「じゃあ、食卓の用意を致しますかのう・・・
ふおっふおっふおっ・・・」
「・・・・・」
「あ、葵ちゃん・・・昨日は本当にごめんよ、俺・・・」
葵 「今日はドコ行くの?」
「葵ちゃんの気持ちも考えないで・・・って、え?」
葵 「昨日行ってたやんか、今日ドコか行こう言うて」
「あ・・ああ・・・」
葵 「思い出作りに行くんやろ?」
「・・・・・・」
よかった・・・本当によかった・・・
このままずっと避けられたらどうしようと思ってたけど・・・
「本当にごめん、葵ちゃん・・・」
葵 「もうええって」
葵 「大事なのは今日を楽しく生きる事や。いつまでも
昨日の事を考えてたらアカン」
葵 「特にボクは・・・な」
「・・・・うん・・・」
葵 「ふふふ、これもキミが十分に反省してるみたいやから
許してあげるんやで」
葵 「さて、今日はドコに連れてってくれるんや?
遊園地か?動物園か?」
・・・あ、そういや「どこかに行こう」って言っておいて
全然考えてなかった・・・・(汗)
「あ、えーと・・・ゴメン、特に考えてないんだ・・・」
葵 「ん・・・?」
葵 「・・・そっか、じゃあ海、行かへん?」
「海?目の前にあるけど・・・」
葵 「うん、そこでエエやん。まだちゃんと海で遊んでへんやろ?
こっちに来てから・・・」
そういえば、初日は浜辺に寝転がってただけだし・・・
とゆーか、あんまり泳ぐのが得意じゃないから
自分から泳ごうとは思わない
葵 「うし、きまりや。今日は海で人生を楽しむ!」
葵 「そうと決まったら色々と用意せなな☆」
葵 「えーと、浮き輪に水中メガネに水着に・・・」
なぬっ!水着とな・・・・
気になる気になる、見たコトもない木ですから
葵 「ばあや〜、スイカあるか〜?スイカ割りするねん
でっかいの1つ頼むわ〜」
ばあや「はいはい・・・」
水着・・・どんな水着だろう?・・・ワンピースかな?
ビキニかな?それとも・・・
ムフ・・・ムフフ・・・ムフフフフ・・・☆
・・・・・・・
・・・って俺、全然反省してないやん・・・・
========== 8_222.SCO ==========
葵 「うりゃ!いくでー!!」
「うわわっ」
葵 「なんやー、どんくさいやっちゃなー、はははっ」
俺は今、葵ちゃんと一緒に浜辺で遊んでいる
別荘から歩いて2分の葵ちゃん家の私用ビーチだ
よくよく考えるともの凄いよな・・・(汗)
いや、それ以上に凄いのは・・・
・・・・・・
葵ちゃん、スクール水着は狙いすぎだって
こりゃもーどんなグラビアに載ってる水着なんかより
葵ちゃんのスクール水着の方がそそられる・・・
葵 「なんやー、ボクの事ジロジロ見て、やらしーなぁ」
葵 「そんなにスクール水着がええんか?ははっ」
「うむ、良い」
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「うーん、自分でもマニアックやとは思ってんねんけど
コレしかなかったんや」
葵 「ボク、あんまり服とか買わへんから」
葵 「その分、ゲームのソフトとか買ってるんやで
ホンマ、ゲーマーはつらいわー」
「ていっ」
葵ちゃんが油断したスキに水を思いっきりかけてやる
葵 「わあっ!!やったなー!関西人にケンカ売るとは
えー度胸や!!」
葵 「ていていっ!飛天御剣流の九頭龍閃や!!」
なんか危険な名前の必殺技を繰り出して
応戦してくる葵ちゃん
「むうっ!!じゃあこっちは回転剣舞六連だっ!!
ていていていていっ!!!」
こっちも同じく危険な技を繰り出して応戦する
著作権は大丈夫だろうか・・・
葵 「もうこうなったら最後までやったるでー!!」
葵 「飛天御剣流奥義!!天翔龍閃やー!!!」
ふう・・・
流石にはしゃぎすぎたかな・・・疲れた・・・
この前のテニスみたいに、明日筋肉痛に
ならなきゃいいんだけど
葵 「ていっ」
「うおっ?!」
急に頬に冷たい感触が走った
葵 「ほい、コーラの差し入れやで。さっき家から
もってきたんや」
葵 「いやー、近いからエエなー、こんな時だけ私用の
ビーチあってよかったと思うねん」
「葵ちゃん・・スクール水着なんかでウロウロしてたら
危ないオジさんに捕まっちゃうよ・・・(^^;」
葵 「ええやんか、誰も居らへんのやし」
葵 「・・・・・・・」
葵 「そういえば目の前に危険人物が居ったな・・・」
「ちょっと待てい」
「俺は危険人物じゃないぞ、現にこうやって・・・」
葵 「現にジロジロ見てるやん」
・・・・・・・
見てはダメなのか・・・?
葵 「まぁコーラでも飲もかっ、にはは」
コーラの栓を開けるとプシュッという
独特の音がした
葵 「ごきゅごきゅ・・・」
「・・・・・」
葵 「ごきゅごきゅごきゅ・・・・」
「・・・・・・・・・」
葵 「ぷはー!あー効くわー!!」
お・・・オヤジくせー・・・(汗)
スクール水着の女子高生のそんな行動に
俺は少しビックリである・・・
まぁそのギャップがまたいいんだけど・・・
葵 「でもな、今日、ボクの夢がひとつ叶ってんやで」
「うん?」
葵 「さっき、コーラをほっぺたにつけたやろ?
そしたらキミが驚いて・・・」
「あ・・・うん、ちょっと驚いたかな」
葵 「あれ、実際にやってみたかったんや
どんな感じなんやろうって・・・」
「そ、そう・・・(^^; で、感想は?」
葵 「うーん・・・」
葵 「思ってたより面白かったな」
葵 「何事も実際やってみるコトやなぁ」
・・・なんか俺で遊ばれてるよ−な気がする
葵 「うん・・・でも良かった・・・」
葵 「こうやって・・・やりたい事1つずつ
やっていきたいな・・・」
葵 「残りの・・時間で・・・」
葵ちゃん・・・
「葵ちゃん・・・その事なんだけど・・・」
ひとつだけ、葵ちゃんに聞いておきたい事があった
ここ最近ずっと考えていたんだ
「葵ちゃん、君は・・・」
声 「お嬢様」
・・・ん?
葵 「・・・あ」
男 「お嬢様・・・こんな所に居られましたか」
・・・?
何だこの人は・・・でも、どこかで・・・
この声は聞いたことがあるんだ・・・
・・・どこだっけ?
葵 「吉原・・・もうここには来ない様に命じたはずです」
・・・は?!葵ちゃん・・・?
な・・なんか口調が・・・(汗)
吉原 「お嬢様・・・そう申されても私どもはお嬢様の
ご余命について必死に考えているのです」
吉原 「病院にお戻りください。ドイツから優秀な名医が
来て居られます、彼ならば・・・」
そっか・・・この人、昨日来た人だ・・・
また葵ちゃんを病院に連れて行こうと・・・
葵 「その名医ならば私の病気を治すことができると
いうのですか?」
吉原 「・・・・・」
葵 「わかっております、たかが2,3日延命したとて
何か変わるものでしょうか」
あ・・・葵ちゃん、完全に別人になってる・・・(汗)
・・・そっ、それよりも今はもっと大事な事を
話してるんだ・・・聞かなきゃ・・・
吉原 「・・・ん?」
吉原 「お嬢様・・・こちらの方は・・・?」
吉原 「昨日お聞きした・・・ご友人でしょうか?」
話の矛先が俺に向けられた
「あ、え・・と、俺は葵ちゃん家にいそうろ・・・」
葵 「この方は・・・私の恋人です」
そうそう・・・恋人・・・
・・・・・・・・・・・
えええええええっ?!!
吉原 「お嬢様の・・・」
葵 「そう、この方が私の大切な人です・・・」
吉原 「・・・・」
そうか・・・
そうだったんのか・・・
いつの間にか俺達はソコまで進んでいたんだなぁ・・・
全然気付かなかったぜ・・・
ギュ!!
いてっ?!
な、なんだ?!急に足をつねられて・・・
葵 『わかってるやろ?!』
葵 『上手くボクに合わせるんやで!』
・・・・・
・・・やっぱりな・・・(泣)
葵 「分かったでしょう・・・私はここに居たいのです
大切な人と一緒に・・・」
吉原 「お嬢様・・・ならばこの方も共に病院に
来て頂いて・・・」
えーい、こうなったらヤケクソじゃい
「すいません、お言葉ですが・・・」
吉原 「ん?」
「葵ちゃんの病気は、俺自身詳しくは知らないので
誠に勝手な話かもしれませんが・・・」
本当に勝手な話である
「確かに延命を考えるのはすごく大切な事ですが・・・
それ以上に大切なのは残された時間ではないですか?」
「病院の中の世界よりも、この広い世界を限られた
時間の中で見ておく方が価値があると思います」
呪文のように言葉が出てくる
今まで無意識のうちに考えていた事・・・
葵ちゃんの残された時間・・・
この言葉は相手の男より葵ちゃんに・・・
何よりも俺自身に強く話したい事だった
葵 「吉原・・・私は残された時間を、この方と共に
生きるという道を選んだのです」
葵 「私の最後の我儘です・・・ごめんなさい」
吉原 「お嬢様・・・」
葵 「私はこの方を愛しているのです」
ドキィッ!!
む・・・むぅ・・・
お芝居とはいえ見つめながら言われると・・・
・・・よ、よし
この際、言いたい事をどんどん言ってしまおう、うん
「俺も葵ちゃんの事を愛しているんです」
葵 「・・・え?」
「俺たちは愛し合っているんです、だからせめて
残された時間にたくさんの思い出を残したいんです」
「2人だけの思い出を・・・」
吉原 「・・・・うむ・・・」
葵 「・・・・・・・」
「・・・・・・」
そうだ・・・
2人だけの思い出を・・・・・・・
・・・・・・・
・・・ばあやが邪魔だけど・・・・
========== 8_223.SCO ==========
葵 「いやー、疲れたわー」
葵 「ホンマにビックリしたんやで、吉原はん出てきて」
完全にお嬢様モードから戻ってしまった
ノーマル葵ちゃんである
どーやったらあそこまで変われるんだ・・?(^^;
葵 「でも良かったわぁー、結局帰ってくれて・・・
また前みたいに・・・」
「・・・ん?」
葵 「ん・・・あ、いや、何でもないねん」
葵 「それよかボクの変わりようビックリしたやろ?
お嬢様モードやねんで」
やっぱりお嬢様モードか
葵 「キミも良かったでー、オスカー賞狙えるかも
しれへんで、あの演技なら」
葵 「でもいきなり愛してるや言うから、こっちも
ちょっとだけビックリしてもうたわぁ」
葵 「ホンマ、演技やのうてマジかと思うたで、にはは」
「いや、演技も何も・・・本気で・・・あれは
マジで言ってたから」
葵 「・・・・・」
葵 「・・・・はい?」
「うん、葵ちゃんの事好きなのは本当だから
それを言ったまでで・・・」
葵 「・・・あ」
葵 「あ、えーと・・・えーと・・・・・・」
葵 「うん!そうや!!そうやねんな!!」
「・・・葵ちゃん?どうしたの?」
葵 「いやっ!!何でもないねん!そうそう今日は
疲れたから早めに寝よなっ」
葵 「とゆーワケでボクは寝るねんっ!!
おやすみんこっ!!」
・・・・・・
・・・あれ?(汗)どうしたんだろ・・・
なんか俺、まずい事言ったかな?
ばあや「ふおっふおっふおっふおっ・・・・」
「うどわぁぁぁっ?!!」
「ばーさん!いつの間に背後にっ?!気配を
まるで感じなかったぞ?」
ばあや「ふおっふおっ・・・」
「ばーさん・・・聞いてたのか?」
ばあや「・・・・・」
「・・・・・・・・」
ばあや「べっぴんさん、ご夕食ですじゃ。今晩はカレーで
とてもカレー曜日でございますじゃ」
聞いてやがったな・・(汗)なんかイミわからんし・・・
ばあや「ふおっふおっふおっ、青春ですのう・・・」
「・・・・・・」
========== 8_231.SCO ==========
・・・・・・
う〜ん・・・
・・・ふぁ・・・・朝か・・・・
今朝は珍しく自分で起きられたな、いつもは
起こして貰ってたのに・・・
1週間してようやく早起きが定着してきたかな
TVの電源をつけてみる
この時間帯は朝のニュース番組が主で
時間つぶしにはちょうどいい
最近は世の中の事に興味がなかったから
ニュースなんて全然観なかったけど・・・
たまには観ておくか・・えっと今日は・・・
宮城県に向かって、ズームイン!!
ちゃっちゃっちゃ〜♪ちゃっちゃっちゃ〜♪
どうやら今日も世界は平和なようだ
葵 「あれ?もう起きてるやん・・・」
「あ、葵ちゃん、おはよう。今朝も世界は
平和で何よりだよ」
葵 「なんや・・・せっかくボクが起こしてあげようと
思うてたのに・・・いけずやわぁ」
・・・・・・・?
いけずって何だ・・・?
葵 「あ、TV観てるんやな、最近はボクも
あんまりTVは観てへんな」
そう言って葵ちゃんはTVのニュースを
くい入るように観はじめた
TVを観る時間も・・・貴重なんだよな・・・
葵ちゃんにとっては・・・
ばあや「おはようございますじゃ」
・・・・・・・
「おはようばーさん、相変わらず急に出てくるのは
ちょっと辞めて欲しいんだが(汗)」
ばあや「ふおっふおっふおっ・・・まだまだ
修行が足りませんなぁ・・・」
何の修行だ、何の
ばあや「もう少ししたら朝ご飯が出来ますじゃ
それまでお待ちくださいな」
「うい、待ってるぞよ」
ご飯の話をすると急にハラが減ってくるのは
人間の運命であろうか・・・
朝メシが俺を待っている・・・(謎)
「葵ちゃん、お腹すいてない?やっぱり
朝メシは1日の原動力よのう・・・」
葵 「・・・・・・・」
「・・・あれ?葵ちゃん?」
葵 「・・・・・・・・・・」
なんかTVにすごい集中してるみたいだ・・・
全然聞こえてない様だし・・・(汗)
何の話のニュースなんだろ・・・
葵 「
くん、これ・・・」
「ん?」
葵 「桜や・・・」
「・・・桜?だって今は思いっきり夏だし、桜なんて
北海道にだって咲いてないはずだよ・・・」
そう言いながらTVの画面を見てみる
葵 「でもホラ・・・咲いてるやん」
そこには中継で桜の前に立ったキャスターが
何やら話していた
その桜は・・・確かに見事に花を咲かせ
淡いピンク色をしていた
キャスター「はい、こちら××県の夏桜は今が満開です!
本当にキレイですね〜」
キャスター「夏に咲く桜は非常に珍しく、また期間も
大変短いそうです」
キャスター「皆さんも夏に桜の花見というオツなことも
ひとついかがでしょうか?」
キャスター「それでは次の○○県の和田さ〜ん♪」
葵 「・・・・・・」
「ふ〜ん、夏に咲く桜なんてあるんだなぁ・・・
なんか季節感が違う感じするけど」
葵 「・・・・・・・」
「でもそういや前に、浜辺で夏桜の花・・・
確かセスなんとか言う花があって・・・」
葵 「・・・・行こ」
「あれってさっきの桜の花じゃ・・・ん?」
葵 「行こ」
「行こ・・・ってドコに?」
葵 「夏桜、見に行こ」
「・・・え?!見に行こって・・・
もしかしてさっきの夏桜を?」
葵 「うん」
「・・・でもすごく遠いよ・・・
それこそここから何百kmあるか・・・」
「・・・まぁ、行くのは構わないけど・・・
いつ行くの?明日とかだったら用意・・・」
葵 「今日、行こ。出来れば今すぐ」
「・・・あ・・・そう(^^;」
それにしても急な話である
どうしたんだろ・・・葵ちゃん・・・
葵 「ゴメンな・・・無理言うて・・・」
葵 「でも、行きたいねん・・・今行かな・・・」
「・・・うん、わかってる。行こう
今すぐ行こうか」
葵 「ん・・・ゴメンな・・・」
葵ちゃんはわかってるんだ、残りの時間が
どれだけ貴重なのか・・・
俺はそれにできる限り付き合ってあげる
それしかできないんだ・・・
・・・だから今は・・・・
========== 8_232.SCO ==========
ふいい〜
だいぶ走ったなぁ・・・もう昼時だし・・・
朝から車で走り続けて2時間とちょっと
それでもまだ半分も来ていない
今は高速道路のパーキングエリアで休憩と
軽めの昼食をとっている
葵 「・・・まだ着かへんよな・・・だいぶ
移動したと思ってんけど・・・」
「まだ半分いかないくらいだよ、それに今は
夏休みの終わり頃だから道が混んでるし・・・」
「着くのはもしかしたら夕方くらいに
なるかもしれないね」
葵 「ゴメンな・・・なんかボクの我儘でこんな遠くまで・・・」
「・・・別に謝らなくて良いんだよ、俺だって夏桜
見てみたいしね、珍しいらしいし」
「今年の春も・・・受験落ちて桜咲いてるの
見たくなかったから・・・(汗)」
そういえば初めに受験に落ちてから4年だけど
その間ずっと花見なんてやらなかった
まぁ、元々花見なんて進んで見に行く方でも
なかったんだけど・・・
「葵ちゃんは・・・花見なんてよく行くの?」
「今回もそんなに行きたいって事は好きなんじゃ・・・」
葵 「あ・・・うん、去年部活の皆で行ったな・・・」
葵 「でも・・・今年は行ってへんのや・・・だから
今、行きたいっていうのもある」
「フーン・・・受験生が桜を見に行くのは
合格してからとか?」
葵 「・・・ううん」
葵 「今年の春は・・・いろいろ荒れてたんや・・・
病気の事とか分かって・・・いろいろ・・・」
葵 「・・・あの頃は、ちょっと情緒不安定でな・・・」
「あ・・・」
「ゴメン・・・・」
・・・・・・・・・
言葉が出なかった
朝、TVで桜のニュースを見てから葵ちゃんは
驚くほど人が変わっていた
まるで灯りの消えた灯台のように、いつもの
明るくて元気な葵ちゃんを感じなかった
・・・まるで・・・・
・・・本当に死期を悟った人のように・・・・
葵 「
くん、行こ」
「・・・ああ、行こうか」
そう・・・・
一刻も早く・・・・・
========== 8_233.SCO ==========
夏桜は、満開だった
本来、桜とは3月下旬から4月の中旬にかけて
花を咲かせる植物である
だがしかし、今は8月−
奇妙な時間感覚に、まるで過去か未来に
時間軸をずらされたかの様に思えた
まるで−
ここの空間だけ別世界のような−
葵 「うわぁ・・・」
葵 「キレーやなぁ・・・」
葵 「今・・・真夏なのに・・・本当に
咲いてるんやなァ・・・・」
「ああ・・・なんか変な感じだけどね・・・
今が春みたいな気持ちだよ」
周りを見渡すと、辺りには数人の人々が
夏の夜桜を楽しみに来ていた
その様子は正に春に見る桜見そのものであり
誰もが桜に酔いしれていた
「夏に咲く桜・・・か、はじめて見たけど
結構いいもんだね」
葵 「そうやな・・・ボクも初めてや・・・」
葵 「なんだか・・・本当に・・・・」
葵 「来て良かったと思う・・・・・」
「・・・・・・・・」
葵ちゃんが見せたその表情は儚げで−
悲しそうで−
寂しそうで−
まるでこの散っていく桜の様な−
「葵ちゃん・・・」
「ひとつだけ聞きたい事があったんだ・・・」
葵 「・・・・ん?」
葵 「何・・・?」
「死ぬのは・・・」
「死ぬ事は恐くないの?」
「あと何日生きていられるか分からない・・・
その見えない恐怖が・・・」
「・・・恐く・・ないの・・・?」
葵 「・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・
葵 「・・・恐くないわけ・・・あらへん・・・」
葵 「本当は恐くて恐くて・・・・・」
葵 「ほとんど毎日・・・夜も寝られへんのや・・・」
「・・・葵ちゃん」
葵 「夜寝たら・・・朝になっても起きられへんかも・・・
ずっと起きられなかったら・・・どうするんや」
葵 「だから、恐くて恐くて・・・」
葵 「ここ最近・・・全然寝てない・・・」
葵 「それ以上に恐い事は・・・こうやって寝てなくても
全然大丈夫やって事で・・・」
葵 「やっぱりボク・・・どっかがおかしい事が
ハッキリ分かっているんや・・・」
・・やっぱり・・・恐いんだ・・・
死が・・・
目前に迫っている死というものが・・・
葵 「なァ・・・」
葵 「どうしてボクが・・・ここに来たかったのか
分かるかな・・・?」
「・・・・・・・」
葵 「これもまた生きている内にしたかった
夢の1つ・・・」
葵 「好きな人と・・・一緒に桜を見ることが・・・」
葵 「季節は違うけど・・・叶って良かった・・・」
・・・・あ・・・
「葵ちゃん・・・俺は・・・・・」
俺は・・・・・・
俺は葵ちゃんに何をしてやれるというんだろう・・・
残された時間・・・に・・・・・
俺が葵ちゃんの事を好きでも・・・
葵ちゃんが俺の事を好きでも・・・
俺に・・・何が・・・
葵 「本当は・・・・・・」
葵 「本当は死ぬのが・・・今、1番恐いんや・・・」
葵 「死にたくっ・・・ないっ・・・・」
「葵ちゃん・・・?」
葵 「死にたくない・・・死にたくないんや・・・」
葵 「せっかく・・・せっかく好きな人ができたのに・・・
何で死ななあかんのや・・・・・」
葵 「死にたくないんや・・・」
葵 「生きていたい・・・んや・・・・」
「葵ちゃん、大丈夫・・・落ち着いて・・・」
葵 「大丈夫やあらへんっ!何が大丈夫なんやっ・・・・」
葵 「イヤや・・・イヤやイヤや・・・
死にたくないっ・・・」
葵 「今ここで死んだら・・・」
葵 「ボクは・・・何の為に生まれてきたんやっ・・!」
葵 「まだ何もしてない・・・何していいかも
分かってない・・・・!」
葵 「ここで・・・ボクが死んだら・・・」
葵 「何のために・・・生まれてきたんや・・・・」
「葵ちゃん、落ち着いて・・大丈夫だから
だから・・・落ち着いて・・・」
葵 「大丈夫やないっ・・・!ボクはっ・・・ボクはっ・・・」
葵 「もうすぐ・・・死ぬんやっ・・・!」
葵 「・・・・・・あ・・・」
「大丈夫・・・・・」
「俺がいるから・・・大丈夫だよ・・・」
「理屈も根拠もないけど・・・・」
「俺が側にいるから・・・大丈夫・・・」
葵 「
くん・・・・」
「・・ん・・・大丈夫だよ・・・」
そして・・・・
軽くキスを交わす−
温かくて柔らかい葵ちゃんの唇・・・
聞こえてくる葵ちゃんの心臓の鼓動−
葵 「・・・・ん・・・」
生きている
こうやって葵ちゃんも俺も−
死んでなんかいない。こうやって今を生きている
死を考えるよりも
今を精一杯生きる事が大事なんだ・・・・
葵 「ごめんな・・・・・」
葵 「取り乱したりして・・・恥ずかしいわ・・・」
「落ち着いた・・・・・?」
葵 「うん・・・・」
葵 「ありがとう・・・・・」
「・・・・・・・・」
俺たちは少し照れくさそうに、相手の顔を
見つめあっていた
・・・・・・・・・・
さっきの唇の感触がやけに生々しくて、ついつい
その場所を意識してしまう・・・(汗)
キスなんて・・・俺も初めてだったからなぁ
「・・・・・・・・」
葵 「ふふっ・・・なんや、気にしてるんか」
「えっ?!あっ、いやっ・・・別に・・・(汗)」
葵 「視線を感じるで・・・・・・」
ぐっ・・・完全に見破られてるし・・・(汗)
葵 「・・・・・・・・・・」
葵 「も1回・・・しよか・・・?」
その後、また来た道を通って俺達は帰路に着いた−
夜中だったためか道も混んでなく、車は
軽快に走り続けた
来た時には8時間もかかった道のりが
帰りは5時間で帰り着く事ができた
そして−
葵 「・・・すっかり遅うなってしもうたな・・・」
「ん、そうだね・・・もうばーさんも寝てる
みたいだし・・・静かにしねーとな」
時計を見るとすでに深夜の1時を少し
過ぎているくらいだった
いつの間にか日付が変わっていたんだな・・・
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「今日は・・・ホントにありがとな」
葵 「イロイロと迷惑かけてしもうて・・・
ゴメンな・・・・」
「いや、別に・・・・・」
葵 「ふふふ・・・・」
葵 「キミって・・・いつも『別に』って言うの
多いねんな・・・」
「あ、そんな・・・別に・・・・」
・・・・・・・・・・(汗)
葵 「ふふ・・・・・」
葵 「あ、そうや、最後にひとつだけ、もうひとつだけ
お願いできるかな・・・・?」
「ん?」
葵 「ちょっと・・・見てもらいたいモンがあるねん」
葵 「ボクの部屋に来てくれるかな?」
「え?!」
葵 「なんや、アカンのか?」
「あ・・・別にいいけど・・・・」
・・・むぅ・・・こんな夜中に部屋に来させるなんて
ちょっと無防備だな・・・・(汗)
葵 「・・・・・・・・・」
なんだろう・・・見せたいものって・・・
・・・・・・・・・・
なんだかヘンな期待をしてしまう俺・・・
・・・・・・・・・・・・
イカン、なんかドキドキしてきた・・・(汗)
葵 「ん、入って・・・」
「あ、ああ・・・・・」
先に葵ちゃんの部屋に入る
前と変わらない整理整頓された綺麗な部屋だ
「え?」
「今の・・・カギかけた音・・・」
ドサッ
「え?」
葵 「・・・・・・・・・・」
そのまま葵ちゃんはベッドの上に身をあずけていた
そして・・・こちらをじっと見つめながら・・・
「葵・・ちゃん・・・?」
葵 「・・・・・・・・・・」
葵 「お願い・・・・・」
葵 「わかってるやろ・・・?この意味・・・・」
「・・・・・・・・・」
突然の事で、頭がパニくっている俺
そりゃそういう事を少しは期待していたが・・
それが本当に起こってしまうと
何を考えていいかもわからない・・
葵 「お願い・・・・・」
葵 「ホンマは・・・女の子の方からこんな事言うの
間違ってるかもしれへんけど・・・」
葵 「はよせな・・・いつまでたってもキミはボクの事
抱いてくれへんような気がして・・・」
「・・・・・・」
葵 「ボクがまだ元気なうちに・・・・・」
葵 「こういう思い出も残しておきたいんや・・・」
・・・・葵ちゃん・・・・・・・
葵 「でも・・・本当は・・・・」
葵 「ボクは・・・エッチな女のコやから・・・ただ
純粋にこういう事したいだけかもしれん・・・」
葵 「でも・・・・・」
葵 「今、ボクはキミに抱いて欲しい・・・」
葵 「それは確かやと思うから・・・・・・」
「・・・・・・・・」
もう何も考えたくなかった
考える前に身体が動いていた
葵 「あっ!!」
俺もベッドに倒れこみ、葵ちゃんに覆い被さる
そしてその身体をきつく、きつく抱きしめる
葵 「ん・・・・っ」
葵 「ちょ・・・苦しい・・・よ」
葵 「ん・・・・?んんっ・・・」
服を脱がし、そのまま葵ちゃんの脚を触る
前に触った時のように、そこは柔らかく
すべすべした感触がたまらなかった
葵 「ん・・・・・」
葵 「
くん・・・フトモモ・・好きなん?」
胸がドキドキしていた
今までにないくらいの鼓動で、それにつれて
息も荒くなっていた
「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・」
葵 「はぁ・・・はぁ・・・・」
葵ちゃんも息がどんどん荒くなっている
葵ちゃんの鼓動も・・・
葵 「あっ!!」
胸に手を当てる
下着ごしにでも柔らかい乳房の感触がわかる
それを両手でかき回す
葵 「んっ!ああっ・・・あっ!!」
葵 「やっ・・・ん・・・そんな・・にっ・・・!」
葵 「んんっ・・・!!」
「・・・・・・」
俺はその感触を直接味わってみたい気持ちに駆られ
葵ちゃんの服を一気にまくしあげた
葵 「あ・・・・」
そして、あらわになった胸に今度は口で吸い付く
葵 「んあっ・・・ああ・・・やっ・・」
ちうちうと音を立て、俺は本能的に
どんどん強く吸い立てた
手で反対の胸を攻め続ける
ぢゅるぢゅるっ・・・ぢゅるる・・・・
葵 「ああっ・・・んんんっ・・!」
葵 「やぁっ・・・・」
葵 「そんな・・・に・・・音立てて・・・・」
そして次は、下の方に気持ちが動いていった
葵 「あっ?!!」
パンティ越しにあそこを触る
葵 「そこ・・・行くん・・・・?」
葵 「あ・・・そんな・・・ソコ・・いいねん・・・」
時にはパンティの横から指を入れ、直接
その部分を触ってみる
すると次第にそこからヌルヌルとした
液体が溢れ出してきた
葵 「んやぁ・・・い・・気持ち・・いいんや・・・」
葵 「あっ・・・ゆ・・指入れんといてぇ・・なぁ・・・」
俺はその布が邪魔に思え、その薄布を一気に脱がした
葵 「あっ・・・わっ・・・・・」
体勢を変え、葵ちゃんの局部がよく見えるように
脚を抱え上げた
葵 「やっ・・・イヤや・・・は・・恥ずかし・・・」
葵 「んあァ・・・・・」
そのままその部分に口で吸い付く
葵 「やぁ・・・いい・・あん・・・あああ・・・」
あふれてくる蜜を味わいながら、俺は夢中で
葵ちゃんのそこを舐め回した
吸い付き、舐め上げ、キスを続ける
葵 「んあっ!!イヤっ・・・そっちはっ・・・・」
そのまま後ろの方の穴も攻める
葵 「そっ・・・そっちはアカンって・・・」
葵 「き・・・汚い・・・やんか・・・・」
構わず俺は丹念にそこを舌で愛撫する
前の穴に、舐めていた舌を入れ、中でかき回す
葵 「あんっ・・・あああっ・・・やっ・・・・・」
葵 「はうぅ・・・・あっ・・・・・」
「はあっはあっ・・・・」
もう・・・ガマンできない・・・・
「あ・・・葵ちゃん・・・・」
葵 「ん・・・・」
葵 「ええよ・・・・」
葵 「来て・・・・」
葵 「入れて・・・・欲しいねん・・・・・」
葵 「んっ・・・!!」
葵 「ぎっ・・・いたたっ・・・た・・・」
挿入と同時に苦痛の声をあげる
確かにその膣内はきつく、十分に潤ってるとはいえ
初めてでは痛いだろう
「葵ちゃん・・・・大丈夫?」
葵 「ん・・・・・」
葵 「エエよ・・・・・」
葵 「最後まで・・・入れて・・・・」
葵 「んっ・・・くっ・・・・・」
無理矢理、腰を沈めていく
葵 「んあっ・・・・」
葵 「入って・・・くる・・・・・」
「あ・・・入ったよ・・・全部」
その膣内は温かく、それでいて強く締めてくる
それでいて柔らかく、愛液のおかげで十分に
しっとりとした感触を感じられた
葵 「んっ・・?!ああ・・・あううっ・・・・」
もう自然と腰が動き始めていた
動かずにはいられなかった
葵 「んくっ・・・あっ、うあっ・・・はあっ・・・・」
強く締め付けてくる、それでいて柔らかく
ヌメついた液が絡み付いてくる
そこをナマでかき回しているのだ
恐ろしく気持ちがいい
葵 「はあんっ・・・ああっああ・・・・
いっいっいっ・・・」
葵 「は・・・激しいわぁ・・・ち・・・
ちょっと・・お・・・・」
葵 「あん・・・んっ・・・・っ・・・・」
激しく挿入を繰り返しながら
熱いくちづけを交わす
葵 「んっんんん・・・んん・・・んくっ・・・・」
舌を絡める
お互いの舌がまるで別の生き物のように
交わりあっている
葵 「あふっ・・・あ・・・・あうんっ・・あん・・・・」
それでいて、下の激しい運動は勢いを増していた
お互いを求め、腰を振り合っていた
口で絡め合って、下で絡め合って、激しく
快楽を貪りあった
もう頭が真っ白になってきて、本当に2人が
ひとつになったような快感を感じていた
「んっ・・・・・・」
「で・・・出るっ・・・・・」
激しい行為の果てに、下半身に強い
射精感が訪れた
初めてで、しかもナマでしているのだから
そう長くはもたなかった
「あ・・・葵ちゃん・・・いくよ・・・・」
もはや避妊の事なんて頭になかった
ただ一瞬でも長く、この快感を味わっていたかった
葵 「んっ・・・・・・」
葵 「エエよ・・・っ、ナカで・・・・・」
葵 「ナカで・・・思いっきり出してっ!!」
その言葉を聞いた俺はラストスパートで
思いっきり腰を振った
葵 「あんっ・・あんあん・・・・あっあああああ!!」
「あ・・・う・・・・ううっ!!」
びゅるっ!びゅるっ!!びゅる!!
葵 「あはっ!!!」
びゅっ!びゅっ!!びゅっ!!!
俺は葵ちゃんの1番深い所で大量の精液を吐き出した
========== 8_234.SCO ==========
葵 「おーい、こっちだよー」
犬 「ワォウ!ワォウ!!」
あれは・・・・・
そうや・・・10年くらい前・・・・
この別荘で一人ぼっちだったボクは・・・
あの犬と毎日遊んでいたんや・・・
葵 「うーん、今日は何しようかなー」
葵 「毎日海で遊ぶのも飽きてきたよね」
犬 「クゥーン」
葵 「・・・・・・・・」
犬 「・・・・・・・・」
葵 「お散歩しよっか、普通に歩いてるだけでも
きっと面白いよね」
葵 「何かあるかもしれないし・・・確か、えっと
こういうの何て言ったっけ・・・」
犬 「ワン!ワン!」
葵 「そうそう!犬も歩けば棒に当たる!」
葵 「よし!棒に当たりに行こ〜」
犬 「ワン!」
あの頃、転校ばかりしていたボクに友達といえる
友達はいなかったんや
今思えば、あの犬がボクにとって初めての
『友達』やったんや
葵 「ねぇ・・・キミさぁ、ボクのウチに来ない?」
葵 「ウチで飼ってもらえるように・・・
パパにお願いしてみるからさ」
犬 「ワン!ワン!」
葵 「うん!じゃあ今晩にでも話してみるね
キミを飼ってもいいかなって」
犬 「ワン!ワン!ワン!」
葵 「よーし、じゃあ走るよー」
葵 「よーい、どん!」
その日は、夜遅くまで遊んでいた
そして、家に帰ってきて、犬を飼うのを
お父さんに必死に頼みこんだんや
でも、飼うことは許されなかった
あの頃は、どうしてだかわからずに随分と
父親を恨んでいたものだった
どうして、飼っちゃいけないのか
どうしてボク達は一緒に居られないのか
・・・・・・・・
・・・だけど、今思えばお父さんはちゃんと
考えていたんだ
確かに・・・・・
確かに、あの犬は毎日どんどん痩せていた・・・
あの犬は・・・・・
病気だったのだ・・・・・・
========== 8_241.SCO ==========
う・・・・・
・・・もう・・朝か・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・
あれ?
何で俺は葵ちゃんの部屋で寝てるんだ・・・?
・・・・・・
あ、そっか・・・・
昨晩、あの後すぐに寝ちゃったんだ・・・
今は・・何時かな・・・って、げっ(汗)
時計の針はもう昼の12時半を回っていた
最近早起きしてたから・・・昼まで寝てたのは
なんか久しぶりだなぁ・・・
・・・とまてよ
「・・・・・・・・・」
・・・今気付いたが・・・俺は裸だった
昨晩・・・俺は葵ちゃんと・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
ムラムラムラムラ・・・
いかん、あそこが元気になってきた
・・・・・・・
このベッドで毎晩葵ちゃんが寝てるんだよな・・・
ムラムラムラムラムラ・・・・
・・・・・・・
スー
とりあえず、葵ちゃんの布団の香りを堪能する
ほえ〜
とりあえずあの後ひとりエッチしてから服を着て
下のリビングに降りてきた
なんか・・・いろいろあって疲れたな・・・・
いろいろ・・・・・
・・・・・・・・・・
ムラムラムラムラ・・・・・
いかん、またムラムラしてきた
よし、また葵ちゃんの部屋に行って今度は・・・
ばあや「おはようございますじゃ」
「うおおおおおおおおっ?!!」
ばあや「ふおっふおっふおっ・・・と申されても
もうお昼でございますが・・・」
「・・・・・・・・・」
急に冷めたわ、俺のハート
「俺はさっき起きたばっかりだよ、久しぶりに
長い事寝たなぁ」
ばあや「昨日はお疲れ様ですじゃ」
「ん?ああ、そうだな・・・昨日は桜見に
遠くまでずっと運転してたからな」
ばあや「ふおっふおっふおっ・・・そうですのう・・・
イロイロとお疲れ様ですじゃ・・・・」
ばあや「ふおっふおっふおっ・・・・・・」
・・・・・・・・・・
ばーさん、もしかして昨晩の事知ってるんじゃ・・・
「そういやばーさん、葵ちゃんの姿が見えないが
どこかに行ったのか?」
俺が起きた時にはもうベッドにはいなかったし
ばあや「お嬢様は今、シャワーを浴びておられますじゃ」
なにっ?!シャワーとな・・・
再びムラムラムラムラ・・・・
ばあや「まぁ、正確に言えば洗髪ですじゃ
先ほど・・・・」
葵 「あ、
くん、起きてきたんや」
・・・・・・・・・
「・・・え・・・・?」
「・・・葵ちゃん・・・・なの?」
葵 「・・・おはよ・・・・」
「・・・・・・・・・」
葵 「あはは・・・なんか・・・やっぱり・・・・
恥ずかしいねんな・・・・・」
「あ・・・いや・・・・」
「か、髪切ったんだね。に、似合ってると思うよ」
「最初、誰だかわからなかったよ、はは・・・」
葵 「あ・・・・・」
葵 「そ、そっちの話やのうて・・えっと・・(照)」
葵 「・・ま、まぁ・・・エエけどな・・・・」
「・・・・・・?」
・・・・・・・・・・
あ、昨晩のコトか・・・
・・・・・・・・・・・・
ムラムラムラムラムラ・・・・・・
ばあや「お嬢様、あの話ですが、どういたしましょうか?」
葵 「・・・うん、わかってる」
葵 「半分こにしておいてや・・・半分はばあやが
持っておいて・・・もう半分は・・・・」
葵 「もう半分はボクが預かっておく」
ばあや「・・・・わかりました」
何の話だ?半分がどうとか・・・・
葵 「
くん」
「・・・・えっ?何なに?」
葵 「・・・ホンマに・・・似合ってる?」
葵 「この髪型・・・」
「あ・・・うん、似合ってるよ」
「今の今までがすごく長かったから、ずいぶんと
変わっちゃった感じはするけどね」
「昨日まで・・腰が隠れるくらい長かったもんね」
葵 「そうやな、これだけ切ってしもうたら全然
頭が軽くなってしもうたな」
葵 「あー、涼しいわぁ・・・」
「でも・・・それにしても今までずいぶんと
長かったよね、髪の毛・・・」
「どうしてあんなに伸ばしてたの?」
葵 「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・?」
葵 「・・・・・・・・・・・・」
葵 「・・・(ボクが死んでも・・・髪は残るやんか・・・)」
「え?何?」
葵 「・・・ううん・・・・・」
葵 「なんでもないねん・・・・」
・・・・・・・?
ばあや「お嬢様、今晩のあの件ですが・・・」
葵 「あ、そうそう、話し忘れとった」
葵 「キミ、今晩空いてる?」
「え?今晩・・・?」
空いてるも何も、今俺がする事は、葵ちゃんと
一緒に居ることしかない
「えと・・・何か用事があるの?」
今晩・・・・・?
・・・・・・・・・・
ムラムラムラムラ・・・・・
(なんかコレばっかりだな)
ばあや「お嬢様、浴衣の方は用意できてますぞ。少し
古いですが、幸いにも1着だけありましたじゃ」
葵 「あ、うん。ありがとう・・・見つかって良かったわ」
「・・・・浴衣?」
葵 「うん」
葵 「今夜、近くで夏祭りがあるねん」
========== 8_242.SCO ==========
「うわー、すげー人が来てるなぁ」
葵 「そうやな、この辺りではこういうイベント
あんまりないみたいやし」
葵 「みんな珍しいんとちゃうかな」
周りには露店が所狭しと並び、それぞれに
人が集まっている
子供から大人まで、皆楽しそうに、この夏の
祭りを楽しんでいるようだった
そういえば・・・俺もこんな祭りに来たのは
何年ぶりだろう・・・・
この場所の空気はなぜか懐かしく、それでいて
安心感みたいなものがある
そう、だからこそ人は祭りをするのかもしれない
そうだ・・・確か祭りって・・・一種の
儀式だもんな・・・・
葵 「ホラホラ、
くん、はよ行くで〜」
葵 「わたあめや、わたあめ買おうや〜、やっぱり
お祭りといったらわたあめやろ〜」
「・・・あ、うん・・・・」
葵ちゃんは童心に返ったかのように、楽しそうに
はしゃいでいる・・・・
やっぱり髪が短くなっただけで・・・なんか
別人みたいだな・・・・
浴衣姿とも相まって、本当に子どものような
感じになっている
葵 「わたあめ甘いな〜、なんかこの甘さで
心まで溶けてしまいそうやわ〜」
葵 「キミも食ってみぃや〜」
・・・まぁ・・・可愛いからいいか・・・
葵 「なんや、そんなにニマニマして・・・そんなに
ボクの浴衣姿が可愛いんか?」
葵 「そりゃ自分でいうのもアレやけど、ボクは
何着たって似合うしなぁ」
「うん、そうだね」
「浴衣姿も、とっても可愛いと思うよ」
葵 「・・・・・・・・・・」
葵 「な、なんや、そう正面きって言われると
ちょっと恥ずかしいわぁ・・・」
照れても可愛い葵ちゃんなのであった
葵 「あ、射的や射的!次はコレやろ〜や」
葵 「あ、あのヌイグルミ欲しいわ〜、絶対に
取ったるでぇ〜」
おやじ「おっ、お嬢ちゃんやるのかい?1回3発で
2百円だよ」
葵 「よっしゃ!いっくで〜」
「・・・葵ちゃん・・・めちゃめちゃ気合
入ってるね・・・(^^;」
葵ちゃんの声に周りの人々は何だというふうに
こちらを見ている
葵ちゃん・・・銃は気合でど〜にかなるもん
じゃないぜ・・・(汗)
葵 「うりゃっ!!」
パァン!
葵 「・・・・・・・・」
「あ・・・外した・・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「ふっ・・・ボクとした事が・・・・」
すごい自信だな、オイ
葵 「うりゃぁっ!!」
パァン!
葵 「・・・・・・・・・」
「・・・うーん、惜しい・・・かな・・・」
とゆーか全然外れてるんだけど
おやじ「嬢ちゃん、もう1発だよ、頑張りな」
葵 「・・・・・・・・」
「あ、葵ちゃん、俺がやろうか?こう見えても
手先は器用な方で・・・・」
葵 「アカンで!!アレはボクが落とすんや!」
葵 「ボクはな!昔、浪速のシティーハンターと
呼ばれた女やで!」
「葵ちゃん・・そんな懐かしの職業を(^^;」
葵 「うりゃあ!!」
パァン!!
葵 「・・・・・・・・・」
葵ちゃんの想いを込めた弾丸は・・・
目標の隣にあったケロッピ人形に当たった
葵 「・・・ふっ・・・・」
葵 「ボクとした事が罪もない一般市民を事件に
巻き込んでしもうたわ・・・」
おやじ「おー!お嬢ちゃん、おめでとう!」
おやじ「じゃあこの人形を持っていきな」
葵 「・・・まぁ・・・コレでもええか、可愛いし」
・・・・・・・・・・
それでいいのか、浪速のシティーハンター・・
あの射的の後、いろんな場所をまわり、
今は最後に金魚すくいをやっている
・・・葵ちゃんは何にでも真剣なんだよな・・・
葵 「おっちゃん、もう1回やわ〜」
おやじ「あいよ、百円な」
葵 「・・・・あら?」
葵 「もう小銭ないわ・・・」
葵 「おっちゃん、クレジットカードじゃアカンか?」
おやじ「・・・そ、そいつぁちょっとな・・・(汗)」
金魚すくいの代金をゴールドカードで支払おうとする
ちょっと非常識な人間がここに居た
おやじ「お嬢さん、彼氏に払ってもらいなよ
さすがにカードはねぇ・・・」
葵 「
くぅ〜ん・・・・」
「・・・・・・・」
「ん・・・じゃあ出すよ・・・この前銀行から
少しだけ落として来てたから・・・」
でも俺にとっては貴重な百円
葵 「ありがと〜、キミの百円にかけて絶対に
捕ってみせるからな!」
「ああ、是非とも頑張ってもらいたいな」
葵 「うぃ!おっちゃん!!もう1回やでっ!!」
おやじ「まいどー!じゃあ頑張れよ!」
葵ちゃんの手に新たな金魚すくいのタコが渡された
さてさて・・・
葵 「うっしゃ!いくでぇ!!」
葵ちゃん、だから力んじゃダメだって
葵 「・・・・・・・・」
葵 「ていっ!!」
そして葵ちゃんの手の中には−
見事に破れたタコがあった−
葵 「あ・・・・・」
葵 「アカなんだかぁ・・・ムズかしいわ・・・」
「うーん・・・こういうのはやっぱりコツとか
知ってなきゃやっぱ難しいよね」
「コツがわかる人は何匹でも捕れるらしいし」
葵 「あーあ、ゴメンな
くん。せっかく
もらった百円・・・」
「い、いや、別にいいよ・・・百円くらい」
よくよく考えると葵ちゃんの家に居候している俺は
それこそ何万円の負担をして貰ってるかわからない
そんな葵ちゃんの悲しそうな表情を見ると少し
心が痛かった
「ん、んじゃ行こーか・・・そろそろ・・・」
そう言って俺が立ち上がった時
おやじ「あ、お嬢さん、コレ持っていきな」
葵 「え?」
屋台のオヤジは葵ちゃんに袋を差し出した
その中には2匹の金魚がゆっくりと水の中を
泳いでいた
おやじ「残念賞だ、また来てくれよな」
葵 「あ・・・・」
葵 「・・・・・・・・」
・・・・・・・・?
おやじ「どうした?お嬢ちゃん、いらねぇのかい?」
葵ちゃんは動かずにその中の金魚をじっと
見つめていた
「・・・葵ちゃん・・・?」
葵 「・・・・・ん」
葵 「おっちゃん、ゴメン。別にエエわ・・・」
葵 「また次に来る人にまとめてあげてや」
おやじ「あ?ああ、それなら別にいいけどよ」
葵 「・・・・・・・・」
「・・・葵ちゃん・・・?」
葵 「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
俺達は無言で歩いていた
聞こえる人の声
感じる夏の夜の祭りの鼓動
そして−
「あ・・・葵ちゃん、花火だよ」
葵 「・・・・・・・・・・」
見上げるとそこには、光と音の夏の花火が
夜空に花を咲かせていた
また−
また心のどこかで懐かしさがこみ上げてくる
多分、10年後に見ても、懐かしいと
思うのだろうな・・・・
いや、10年と言わず、1年後、2年後・・・
この夏を思い出して・・・
・・・でも・・・・・
葵 「あの金魚な」
「え?」
葵 「金魚や、さっきの金魚すくい」
「あ、ああ・・・うん。どうしたの?」
「あんなに頑張ってたのに、結局最後は
貰わなかったし・・・」
葵 「・・・だって・・・・・」
葵 「・・・世話でけへんやろ・・・?」
葵 「あのコらより・・・ボクの方が先に死んだら・・・」
「・・・・・・・・」
葵 「もう、あんまりボクに関わらない方がええねん
どうせあんまり時間はないんや」
葵 「今から仲良くなっても・・・・」
葵 「逆にお互い辛いだけやんか」
葵 「だから、どうせなら触れ合わない方がいい」
「・・・・・・・・」
何も言えなかった
心のどこかで俺はその言葉に意見を抱きつつも
バカな俺はそれを上手く言葉にできなかった
それに・・・・
葵 「せ・・・やろ・・・・?」
葵 「・・・悲しい・・・だけ・・・やんか・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
涙の混ざった声に、葵ちゃんはひどく儚く思えて
壊れてしまいそうなその存在が、俺の心まで
強い痛みを感じさせた
「・・・葵ちゃん・・・」
「花火・・・綺麗だね・・・・」
葵 「・・・う〜・・・・」
横で泣いている葵ちゃんを抱き寄せて、俺は
葵ちゃんの頭を撫でながらつぶやいた
「来年も・・・また来よう」
「一緒に・・・また一緒にこの花火を見ようよ」
「わたあめ食べて・・・射的して・・・
金魚すくいやって・・・・」
「今度はちゃんと金魚捕って・・・さ・・・」
「そして最後にこの花火を見ようよ」
葵ちゃんは俺の胸でずっと泣いていた
俺はその声をずっと聞いていた
やがて花火は終わり、祭りも終わった
そして、人は帰路に着き、屋台の明かりも
だんだんと消えていった
・・・・・・・・
祭りの後の静寂
それはさっきまでの活気と対照的にひどく
儚く感じられるものだ−
そう・・・まるで・・・・
人の命のように・・・・
そう、今になって思えば・・・・
葵ちゃんの元気な姿を見れたのは−
この日が最後だった・・・・
========== 8_251.SCO ==========
・・・命って何なのだろうか
生きる事と死ぬ事の違い
それは生きる上で、とても重要な事なのに
俺達は何もわからない
知らない、どこで知るかさえ知らない
だから考えるしかない、人はどこから来て
どこに行くのか
どうして生きているのか考えなくてはならない
それが生きる事だから−
・・・・・・・・・
・・・う〜ん・・・
「ふあぁぁ・・・・」
・・・・・・・・・・
今朝も・・・自分で起きられたな・・・
今の時間は・・・と
よし、まだ9時くらいか、これならまだ朝と
呼べる時間帯だな・・・やれやれ・・・
・・・・・・・・
あれ?
いつもは葵ちゃんが起こしに来てくれるんだが
・・・今日は来てくれてないよな・・・
・・・ポリポリ
しばらくボーっとしてみる・・・
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
ばあや「おはようございますじゃ、べっぴんさん」
「ん、ああ、おはよう」
ばあや「朝ご飯は作ってありますじゃ、台所の机に
並べておきます故、いつでも・・・」
「ああ、サンキュー・・・あ、そうそう」
「葵ちゃんは?まだ寝てるの?・・・」
「いつもだったら起きてる時間だと思うけど・・・」
ばあや「・・・お嬢様は浜辺の方にいらっしゃいますじゃ」
ばあや「先程ふらりと家を出て行かれましてな・・・」
「・・・ふうん・・・浜辺・・・」
ばあや「・・・・・・・・・」
ばあや「べっぴんさん、申し訳ありませんが後ほどに
お嬢様の様子を伺って頂けませんかの?」
「ん?ああ、どうせ行くつもりだし・・・」
「今から朝ごはん食べて行くよ」
ばあや「・・・・・・・・・」
ばあや「・・・気をつけておいてくだされ・・・」
「・・・え?」
ばあや「お嬢様に何かありましたら至急にご連絡下さい」
「・・・・・・・・・・」
「ああ、注意しておくよ」
・・・・・・・・
「おーい、葵ちゃーん」
浜辺にやってくると、座っている葵ちゃんを
見つけた
「おはよ、葵ちゃん」
葵 「・・・・・・」
葵 「・・・おはよ、
くん・・・」
「どうしたの?朝から海に来てさ」
「何か用事でもあったの?」
葵 「・・・・・・・・」
「・・・海見てた」
・・・ボーっと海を見つめている葵ちゃん
その視線の先には波打つ海があった
「・・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
う、うう(汗)話が進まないし・・・
「・・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
「う、海さ、綺麗だよね」
葵 「・・・うん・・・・」
「・・・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・」
「で、でもさ、葵ちゃんの方が綺麗だよ・・・
なんちゃって・・・ははは・・・」
葵 「・・・ありがと・・・・」
「・・・・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・」
「・・・よし!!」
「葵ちゃん、ジッとしてたってなんだし・・・
遊ぼうか!」
「そーだなぁ・・・ビーチバレーとかどうかな?」
葵 「・・・・・・・・・・」
葵 「・・・ゴメン・・・」
葵 「・・・身体・・・・だるいねん・・・」
葵 「昨日のお祭りで疲れてるのかもしれへん」
「・・・・・・・・・」
「うん、じゃあいいよ、俺だけでも遊んでるから・・・」
「よし!潮干狩りかな。今日はちょっと曇ってるから
海に入るのは寒そうだし」
「・・・いちおう、ここの土地主に潮干狩りの
許可をもらっておくべきかな?」
「ここで潮干狩りをしてもいいですか?地主さん」
葵 「・・・・・・・・・・・」
葵 「別に・・・エエんとちゃうの?」
「・・・よし、じゃあアサリでも探そうかな・・・」
ざっくざっくざっく・・・
「お、さっそく1個発見」
葵 「・・・・・・・・・」
「バケツに入れておいて・・と、頑張ったら
今日の夕飯にアサリの味噌汁できるかな?」
ざっくざっく・・・
「おし、2個目」
それからは黙々とアサリを探し続ける
やたらと取れる
探せばどんどん出てきた
俺って才能があるのかもしれん・・・
「ざっくざっく・・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
その作業に没頭する
数十分もしたら、バケツに少したまるほどの
アサリ等の貝類が集まる
「ふ・・・これだけあれば大丈夫だろう・・・
やっぱり俺には才能があるな・・・・」
「あ・・・イタタ・・・・」
「こっ、腰がっ・・・!!」
無理な中腰を維持してきたために、かなりの
痛みが後からやってきた
「うう・・・イタタ・・・」
年寄りよろしく腰をポンポンとたたく
「はー、どっこいせ」
再び、葵ちゃんの隣に腰を下ろす
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「・・・大丈夫?」
「え?」
葵 「・・・腰・・・・」
葵ちゃんがふいに話しかけてきた
なぜか、ひどく久し振りに葵ちゃんの声を聞いた
ような、そんな感覚にとらわれた
「あ・・・うん、座っていれば大丈夫だよ」
葵 「ねぇ・・・・」
「葵ちゃんの方こそ・・・」
「どこか、調子が悪い・・・とかじゃないの?」
葵 「・・・・・・・」
「昨日まであんなに元気だったのに・・・それとも
俺が怒らせるような事でも言っちゃったかな?」
「もしかして怒ってる?」
葵 「・・・ううん」
葵 「・・・別に怒ってもないし、身体も大丈夫やで・・・」
葵 「ただな・・・ちょっと身体がだるいねん」
「じゃ、じゃあ家で寝てた方がいいよ・・・
ちゃんとご飯食べて寝てたほうが・・・」
葵 「ん・・・・」
葵 「外の方が・・・風があって気持ちいいから」
「・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
再び、沈黙が訪れた
青い空
波の音
海の風
蝉の声
そして、何も語らずに座っている2人
この空間だけ時間が止まっている
ここだけ、世界とは切り離され、ひとつの世界として
存在している
そんな奇妙な感覚が支配していた
でも・・・・
それでもいいかな・・・・とも思う
愛しい人が隣にいる
今の俺の全てがこの世界にはあるから
だから・・・
葵 「このまま・・・」
葵 「このまま時間が止まれば・・・エエのになァ・・・」
「・・・・・・・・」
葵 「ベタなセリフやけど・・・・」
葵 「今は真剣に、そう思うねん」
「・・・うん」
「おれも・・・そう思う」
でも俺達は生きているから−
俺達の時間は過ぎていくけど−
今のこの一瞬が−
無限にはならないけど−
そう思える事
一緒にそう感じられる事
それは、無限より価値のある事かもしれない
今が一瞬だからこそ
この世界に意味があるんだ・・・
========== 8_252.SCO ==========
「・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
「・・・もうお昼になっちゃったね」
少しお腹がすいてきた
「そろそろ戻ろうか、帰ってお昼食べよ」
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「・・・・ん・・・」
葵 「ボクは・・・エエわ・・・」
葵 「あんまり・・・食欲ないねん」
「・・・・・・・・」
葵 「夏バテ・・・かな・・・・」
葵ちゃんは、朝も食べてないし、昨日もほとんど
物を口にしていないはずだ
「わかった、じゃあ俺はちょっと帰ってるね」
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「うん・・・・」
葵 「・・いってらっしゃい・・・」
・・・・・・・・・・・・
俺はその場を後にして・・・
急いで家に帰った
俺の足は自然と走り出していた
「ばーさん!!」
俺は部屋に入るなり叫んだ
ばあや「どうなされました?!」
ばあさんも急いで出てくる
「葵ちゃん・・・やっぱりどこか悪いんだよ、目は
うつろだし、全然昨日までの元気がないし・・・」
「何も・・・食べようとしないし・・・」
ばあや「・・・・・・・・・」
「ばーさん!あんた医者なんだろ?診てくれよ」
ばあや「わかりましたですじゃ・・・」
イヤな予感がしたんだ
それがあったのはいつだったのか
今朝なのか
それとも今さっきなのか
たった2分の道のりが、今の俺にはひどく長く
感じられた
そして−
「・・・あ・・・・」
「葵ちゃん?!!」
そこには−
砂浜に倒れ込んだ少女の姿があった−
夜になって激しい高熱が出てきた
小さいながらも、その苦しそうな息づかいが
その辛さを物語っていた
「・・・葵ちゃん・・・・」
葵 「・・・う・・・うう・・・・」
眠っているのか、それとも意識がはっきりしないのか
ばあや「お嬢様・・・」
「ばーさん、葵ちゃんはどうなんだ?大丈夫なのか?」
「このまま・・・」
「死んじゃうのかよっ・・・!」
ばあや「・・・今のところはただの熱のような症状ですが・・・
その後どうなってくるのかはわからないですじゃ・・・」
ばあや「落ち着いたら何か食べて頂きましょう
でないと体力が持ちませんですじゃ」
「・・・・・・・・」
額のタオルを替えてあげる
熱い・・・葵ちゃんの身体・・・
部屋の冷房も、強すぎず、弱すぎない設定にする
ばあや「
さん、私は今のうちに必要なものを買い
揃えてきますじゃ・・・」
「・・・ああ・・・」
「俺は・・・葵ちゃんを看てるから・・・・」
ばあや「・・・・・・・」
葵ちゃんの熱い手をそっと握る
その手は力なく弱々しくて・・・
・・・・・・・
そうだ・・・
昔・・・俺が風邪をひいて熱を出したときには
いつも母親が生姜入りの紅茶を作ってくれた
あれ飲んでから寝たらすぐに熱が下がったんだ
「よし、葵ちゃん、俺が後で作ってあげるからな」
「それ飲んだら、きっと熱が下がるから・・・」
「元気になってよ・・・ね・・・」
そう・・それが単なる風邪だったら・・・
元気になるんだ・・・
また一緒に遊べるんだ・・・
・・・・・・・・
その後、俺は一晩中葵ちゃんの看病をした
きっと・・元気になる・・・
また明日、何事もなかったかのように葵ちゃんの
元気な顔が見れる・・・
そう・・思って・・・・・
・・・・・・・・
・・・・けれど−
その日、葵ちゃんの熱が下がる事はなかった
========== 8_261.SCO ==========
ん・・・
朝か・・・?
昨日はずっと葵ちゃんの看病をしていて・・・
そうだ・・・葵ちゃんは・・・・
・・・・・
すっと、葵ちゃんの額に手を当てる
・・・・・・・・
・・よかった・・・熱はずいぶん下がってる
みたいだ・・・顔色もいいし・・・
良かった・・・
ふと、机の上にある時計に目をやると、すでに
お昼を過ぎていた
そっか・・・昨日・・・いや、今朝までか4時
くらいまでずっと葵ちゃんを看てたから・・・
・・・・・・・・・
葵ちゃんの髪をなでる
「・・・まだ起きないのかな・・・?」
「風邪がちゃんと治ったら・・・」
「また、どこかに遊びに行こっか・・・」
・・・・・・・・・
コンコン
「・・・?はい」
ばあや「お目覚めですかな?一晩中お疲れ様ですじゃ」
「ん・・・ああ・・・・」
ばあや「お昼ご飯がもうすぐ出来ますじゃ、しっかりと
食べませんとあなたの方が参ってしまいますぞ」
「ん・・・すまねぇ・・・」
・・・そういや・・・昨日の夜から何も食べて
ないんだった・・・
ばあや「実は先程、お嬢様は起きてらっしゃいましてな」
「・・・え?葵ちゃん、起きてたの?」
ばあや「はい、あなたが起きましたら、自分はもう
心配ないと言っておいてくれ・・・と」
ばあや「少しの間だけパソコンを触ってから、また
お眠りになったみたいですじゃ」
「え・・・?パソコン?」
俺は机の上のパソコンに目をやる
例のあの最新機種である
ばあや「それでは私は下でお昼の用意を続けますじゃ」
ばあや「お嬢様にまた何かありましたらすぐにご連絡
下さいませ」
「ああ・・・・」
・・・・・・・・
パソコン・・・か・・・
そうだ!風邪のときのちゃんとした対処法とか
インターネットで調べればいいんだ・・・
確か葵ちゃんはホームページ作ってるって言ってたから
ネットには繋がってる環境だろうし・・・
人のパソコンを勝手に使うのは失礼だけど・・・
まあ、インターネットだけくらいだったらいいだろ
とゆーワケで葵ちゃん、借りまする
さて・・・と、噂の最新機種だ・・・
見せてもらおうか・・・連邦軍のモビルスーツと
やらの性能を・・・
では、ポチッとな
・・・うわ、立ち上げ早っ
・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・(汗)
・・・あ、葵ちゃん、デスクトップの壁紙まで完全に
趣味に走ってるし・・・(^^;
こんな壁紙・・・ちゃんと使ってるのは作者
くらいなもんだぜ・・・(謎)
この調子だと、ハードディスクの中に入ってる
ファイルも大体想像がつくんだよなぁ・・・
・・・かなり気になるが、ここはガマンして
本来の目的に移ろう・・・
・・・・・・・
後で内容を見せてもらおう(爆)
さてと、とりあえずIEでもNNでも立ち上げて
インターネットで検索しなきゃ・・・
インターネットエクスプローラでいいか・・・
カチッ
インターネットをする為のソフトであるインター
ネットエクスプローラを立ち上げる
・・・おー、処理が早いなー
立ち上げるとまず『HOME』という自分の
登録したページが立ち上がる
大体自分のホームページを登録する場合が多い
多分このページも葵ちゃんのページなのだろう・・・
ハンドルネームは・・・『ひまわり』か・・・
葵ちゃんの名前をもじってるんだな・・・
やっぱりゲーム攻略のページか・・・もうトップ
ページの見た目だけでわかるぞ・・・
内容はエロゲーなのは言うまでもない
うげっ!(汗)
ここのページ、100万アクセス超えてるぞ・・・
すげえ人気なんだなぁ・・・
ここを17歳の女の子が作ってるって言っても
絶対にみんな信じねぇだろうなー(汗)
カチカチ
・・・あれっ?
・・・・・・・・・・
・・・閉鎖・・・されてる・・・?
・・・『重要なお知らせ』
『誠に申し訳ありませんが、今回の更新が最後となります』
『諸事情により、管理人がPCに触れなくなってしまい
ました。急な通達で本当に申し訳ありません』
『今までのデータベースはサーバーに残しておきます
ので必要な時にまた訪れて下さると嬉しいです』
『今まで足を運んでくださった方々、本当に
ありがとうございました!』
『いつまでもアナタの心に美少女ゲームを!』
『by ひまわり』
・・・・・・・・・・
最終更新日・・・2001年8月26日・・・
今日じゃないか・・・
ページを見てみると、すでにBBSなどの掲示板は削除
されていたり、メールアドレスも表示されていなかった
完全に、このホームページを放棄した跡だった
・・・・・・・・・・
どうして・・・・
どうして、閉鎖してるんだよ・・・
これからもずっとやっていけばいいじゃないか・・・
夜、また葵ちゃんに熱が出た
彼女はお昼からずっと眠り続けている
まるで、以前眠れなかったと言ってた分を
今取り返してるようでもある
俺はそんな彼女の側に居てあげる事しかできず−
でもそれは無駄な時間なんかじゃ決してない
俺はそっと彼女の手を握り−
そして、軽い口づけを交わした後−
いつの間にか、俺は深い眠りへと落ちていた・・・
========== 8_262.SCO ==========
葵 「・・・どうしたの?」
葵 「どこか・・・調子が悪いのかな?」
犬 「クゥ〜ン・・・」
葵 「お腹が空いてる・・・んじゃないんだよね
ご飯持ってきてもあんまり食べないし・・・」
葵 「このご飯が好きじゃないのかな?」
葵 「ゴメンね、ボクのご飯の残り物ばっかりだから」
葵 「にんじんとかピーマンが多いよね・・・今度
からはもっとお肉とかも残しておくから・・・」
葵 「あ、それよりもちゃんとしたドッグフードの
方がいいのかな?」
葵 「でも・・・一番近くのお店って言っても、ここから
だと遠いもんねぇ・・・」
犬 「クゥ〜ン・・・」
葵 「・・・・・・・」
葵 「う〜ん・・・もしかして・・・」
葵 「君がメスだったりして・・・子どもが産まれるとか?」
犬 「クウ〜・・・」
葵 「そうなのかなぁ、でもお腹は大きくなってないよね」
葵 「う〜ん・・・わかんないや・・・」
犬 「クゥ・・・」
葵 「でも・・・もし本当に子どもが産まれるんだったら
頑張るんだよ」
葵 「子どもと・・・仲良くしてね・・・」
葵 「私のお母さんは・・・ずっと前に死んじゃったケド・・・」
葵 「私は、お母さんが大好きだから」
葵 「せめてその分、キミ達は幸せになってね」
犬 「・・・・・・・・・・・・」
葵 「家族っていいもんだね〜、ウンウン」
葵 「・・・頑張ってね・・・」
========== 8_271.SCO ==========
う・・・ん・・・
朝・・・かな・・・・?
なんだか・・・随分と長い間眠ってしまった
みたいやケド・・・
・・・今日は・・・何日かな・・・もう完全に
日にちとか曜日感覚が狂ってしもうてるなァ・・・
・・・ん・・・?
・・・
くん・・・?
くんが隣で寝てる・・・
そっか・・・また今日もボクの事を看病して
くれてたんやな・・・・
ありがとう・・・
・・・・・・・
・・・頭・・・撫でてあげよっか・・・
・・・・・・・
・・・
くんの髪って・・・ちょっとかたい
んやなァ・・・
これだと将来もフサフサなままやで
・・でも・・
くんの性格上
、苦労して白髪になるタイプやな・・
こんなボクを気遣ってくれるくらいの・・・
心配性やもんな・・・
「・・・ん・・・」
葵 「・・・
くん・・・・」
「・・・あ、あれ?」
「葵ちゃん?」
葵 「おはよ、
くん」
「あ・・・」
「よかった・・・」
・・・安心した顔を見せる
くん
やっぱり心配性やなぁ・・・
「昨日はずっといたんだけど・・・葵ちゃん
寝たきりだし・・・」
「もうこのまま・・・起きなかったらどうしよう
かと思った・・・」
葵 「・・・うん・・・・」
葵 「その可能性も少なからずあるもんな・・・」
「・・・あ・・・・」
「ご・・・ゴメン、そういうつもりじゃ・・・」
葵 「・・・別にエエねん・・・それより・・・・」
葵 「ずっと側にいてくれてありがとう」
葵 「目が覚めて隣に
くんがいた時・・・」
葵 「めっちゃ嬉しかったんやで・・・」
「ん・・・・」
「そんな事ないよ・・・俺は・・・本当にただ
側にいるだけしか出来なかった・・・」
それだけでも嬉しい
ボクはそれだけでまだ・・・
まだ、生きているという実感が湧いてくるから
「それよりも・・・」
「葵ちゃん、身体の方は大丈夫?」
「まだどこか調子悪いとか、痛いところとか無い?」
・・・・・・・・・・
葵 「うん、大丈夫やで」
葵 「キミはホンマに心配性やなねんなぁ、まぁそこが
良いトコロでもあるねんけど」
「心配するのは・・・当然だろ?」
「自分の好きな人が苦しんでいたら・・・
誰だって心配するさ・・・そうだろ?」
葵 「・・・うん・・・そうやね・・・」
葵 「ありがとう」
それは、ボクも同じだから・・・
だから今は、少しだけガマンしてる
好きな人に心配かけたくないから
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・葵ちゃん・・・」
葵 「ん?」
「・・・・・・・・・・」
「やっぱり・・・」
「・・・やっぱり・・・病院行かない?」
葵 「え?」
「葵ちゃんが・・・ここにいたいっていう気持ちは
わかってるつもりなんだけど・・・でも・・・」
「もしかすると、もしかするかもしれないから・・・」
「だから・・・」
葵 「・・・・・・・」
葵 「・・・ごめん・・・」
葵 「やっぱりボクは・・・ココがええねん、ココに
居らなアカンねん・・・」
「ここにいなくちゃ・・・いけない・・・?」
葵 「・・・うん・・・・」
葵 「・・・
くん・・・・」
「ん?」
葵 「
くんに質問や・・・」
葵 「
くんがもし、自分の死期が分かって・・・」
葵 「もうすぐ、自分が死ぬって分かったら・・・
ドコで死にたい?」
「え?」
「そ、そんな・・・急に言われても・・・」
葵 「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「そ、そうだな・・・やっぱり・・・あえて
言うなら・・・」
葵 「うん」
「・・・自分の・・・生まれ育った所かな・・・」
葵 「そっか・・・」
葵 「やっぱり・・・そうやろ・・・?」
「葵ちゃん、まさか・・・・」
葵 「うん」
葵 「ココで・・・この別荘でボクは産まれたんや」
========== 8_272.SCO ==========
僕が産まれたのも、こんな暑い日だったそうや
ボクの誕生日・・・
8月28日やから、明日なんやケド−
うん、そうや、実は明日
お母さんはな、妊娠してるときに気分転換として
この別荘に来てたんや
お父さんが建てたばっかりの、この別荘にな
まだ予定日よりも随分早かったから、全然
大丈夫や思ってたらしいねん
でも、急な陣痛が訪れた
予定よりずっと早い出産にお父さんもお母さんも
もの凄い混乱したらしいんや
だってココから病院まで、車で何時間かかるか
わからへんからなァ・・・
そこでや
その時にちょうど一緒にいたばあやが、もうここで
産んでしまおうって言ったんや
本当に、その時に医者のばあやがいて良かったと
お父さんも言ってた
そして、この1件の別荘でひとつの命が生まれた
それが、ボク・・・
でもな、生まれたその子は早すぎた出産のため
未熟児でな・・・
あらかじめ呼んでおいたレスキュー隊まで来る騒ぎで
そして・・・
その母親は・・・
そのせいかどうかはわからへんケド、子どもが
小さい頃に亡くなってしもうた
でもな、その子は寂しくなんかなかったんやで
その子には優しいお父さんもいたし、あんまり
多くないケド友達も居った
ただ・・・父親の仕事上、転校する事が多かった・・・
あ、その中で大阪に居った期間が長かったから
言葉づかいがこうなってしもうたんやケド
・・・・・・・・
そうやなぁ・・・今まで本当の友達・・・なんて
出来てへんかったかなぁ・・・
すぐに住む世界が変わってしまってた
友達も・・・恋人も・・・結局いなかったんや
・・・・・・・・
でも、その子は決まって夏に来る場所があったんや
それは、自分が生まれた別荘
なんでやろうな・・・
なんとなく、居心地が良いんや
うん、そう、理由なんてないんや、なんとなくでも
立派な理由の1つやもんな
この別荘と、その周りの環境が好きだった
そう、今でも・・・
そして・・・
この別荘で・・・とある友達ができたんや
初めて出来た、ボクの友達
そして・・・
あの夏に・・・
・・・・・・・・
ごめん、今はまだ上手く言えない
でも、それがボクのここに残りたい理由の1つ
今はまだ言えないけど、きっといつかキミに
話す時が来ると思うから
そう・・・
いつか・・・きっと・・・
========== 8_273.SCO ==========
葵ちゃんは、ずっと自分の物語を話してくれた
傍らで俺はそれをずっと聞いていた
そして話しながら葵ちゃんは再び眠りについた・・・
最近は、本当に眠ってる姿しかない
この部屋からも出てもいない
捕われの眠り姫のような世界が現実にあった
そんな中で俺は・・・
俺は、彼女に何をしてあげられるんだろうか・・・
「はぁぁ・・・・」
「・・・・・・・・・」
ソファーにどっしりと腰を下ろす
身体が重い・・・
だるい
病人の看病をしている人の方が先にダウンするって
こういう事なのかって思った
何よりも・・・
弱っていく相手を見るのが本当に辛い
肉体的な痛みよりも精神的な痛みが、身体にまで
影響を及ぼしている
・・・疲れたな・・・・
疲れた・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
ん・・・・・・
・・・寝てたのか・・・俺・・・
・・・・・・・・
・・・はぁ・・・
時計を見ると、夜の12時30分−
・・・腹・・・減ったな・・・
そういや俺・・・今日何も食ってないや・・・
・・・隣のキッチンルームを覗いても、机の上には
何も用意されていない
そうだ・・・よな・・・・
ばーさんが・・・実は1番大変なのかもしれないんだ
任された医者として、1番辛いんだ
・・・・・・・
適当に冷蔵庫を覗いてみる
・・・何か簡単に食べられるものはないかな・・・
少しでもいいんだけど・・・
・・・・・・・・・
・・・何も・・・ないな・・・
食材は結構あるのだが・・・いまさら調理をする
気力もない
作れたとしても、どうせ大したものはできない
・・・・・・・・
冷蔵庫を閉め、辺りを見回す
・・・・・・・・・
あれでいいか・・・
目に止まったカップ麺を手に取る、よく見ると
賞味期限ギリギリのものだった
・・・今の俺には・・・お似合いかもな・・・
「はぁ・・・・」
ソファーに腰を下ろす
あまり美味しくはなかったカップめんを無理矢理
胃に流し込み、一息つく
「はは・・・ばーさんの料理で舌が肥えて
いたのかな・・・」
いや、違う・・・今だったら何を食べても美味しく
感じはしないだろう
「・・・・・・・・」
ガチャ
ばあや「
さん・・・」
「・・・・・・・」
ばあや「お嬢様が・・・また熱を出されました・・・」
「・・・・・・・・・・」
ばあや「度重なる発熱で、身体の方が随分と衰弱されまして
もはや安心できない状態ですじゃ・・・」
「・・・・・・・・」
「安心できないって・・・何だよ・・・」
「ばあさん、アンタ医者だろ?何とかしてくれよ・・・」
「葵ちゃんの病気・・・治してあげろよ・・・」
ばあや「・・・・・・・・・」
胸が熱い
「医者はっ・・・病気を治すのが仕事だろっ!」
「何にもできないのかよっ!!」
違う
何にも出来ないのは俺だ
好きな人が苦しんでいるのに、何にも出来ないのは
無知で、無力で、バカな俺だ
何にもできないんだ・・・
何も・・・・
「・・・くそぉっ!!」
ばあや「・・・・・・・・・」
俺は走り出していた
ついに、逃げ出してしまった
そして、その足は海岸に向かっていた
砂浜を走った
意味も、目的もないがとにかく走った
この道の先に、葵ちゃんの身体を元気にしてくれる
医者がいるかもしれないから
神様がいて、俺の願いを叶えてくれるかもしれないから
悪魔がいて、俺の命と引き換えに、俺の欲望を
叶えてくれるかもしれないから
だから走った
けれど何も見つからない
見えるのは・・・
見えるのは、現実という名の絶望だけ
そして、いつの間にか俺は砂の上でうずくまっていた
気付かぬうちに転んでいたらしい
胸が熱い
涙が止まらない
「ぐ・・・ぐぐ・・・・」
泣いちゃいけない
泣いちゃ、いけない
俺も、葵ちゃんも、まだ生きているから
だから、泣いちゃいけない
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・」
あれから、俺は砂の上で寝転がっていた
「・・・・・・・・・・・」
このまま寝転がっていれば、いつの日かのように
声をかけてくれるかもしれないから
葵 『何してるんですか?』
「・・・・・・・」
葵 『何してるんですか?』
「・・・・決まってるだろ」
「君を・・・待ってたんだ」
・・・・・・・・・
俺は待った、元気な葵ちゃんが俺に声を
かけてくれることを
あの元気で、可愛くて、髪の長い葵ちゃんが
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
でも、来ない
来るハズがないんだ
だって、俺が現実から逃げているから
現実が恐いから
「もう・・・」
「ここに・・・いたくないよ・・・・」
「疲れた・・・・」
愛すべき人がここにいる
その愛すべき人が苦しんでいる
でも、何もしてやれない
これ以上の苦痛があるだろうか
もうこれ以上
苦しんでいる顔を見たくない
相手も自分も苦しいだけだから
逃げ出したい
この10日間・・・全てが幻だったら・・・
どんなに楽だろうか・・・・
この苦しみも・・・悲しみも・・・
愛しささえも夢だったら−
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
「そっか・・・」
「夢だったんだ・・・・」
何もかも
「俺はあの日・・・砂浜に寝転んでいて・・・」
「そのまま寝ちゃって・・・」
「夢を見て・・・」
「今、まだこうして寝ていたんだ・・・」
だから、もう行かなきゃ
悲しい夢は見ないほうがいいんだ
皆が辛いだけだから、見ても悲しいだけ
なんだから・・・・
向こうに小さな駐車場がある、俺はそこに車を
停めていた。動かしてないハズだ
行こう
目的のない旅へ、再び
悲しい夢はいつか忘れる
・・・・・・・・
そうだよね・・・
葵ちゃん・・・・・
========== 8_281.SCO ==========
・・・・・・
・・・う・・・・
身体が・・・熱い・・・
だる・・・・
もう朝かぁ・・・
今日は・・・何日だろ?
もう・・・本当に感覚もアテにならへんなぁ・・
葵 「・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・・・・」
頭がボーっとする
昨日から何時間寝てたんやろ・・・
もう・・・身体の方がついていかれへん・・・
・・・熱い・・・
・・・まだカゼひいてるんかいな・・・
相変わらず胸も痛いし・・・
・・・・・・・・
なんだか・・・腕を動かす事ですら・・・
抵抗を感じてしまう・・・
身体が重い
・・・あ・・・
自分の腕を見る
葵 「ボクの腕って・・・こんなに細かったかなぁ・・・?」
葵 「カラダ・・・弱ってるんや・・・」
・・・恐い
眠っている間に、自分がどんどん朽ちていく
葵 「・・・嫌やなぁ・・・一応覚悟はしてたケド・・・」
葵 「やっぱ・・・コワイわ・・・」
葵 「・・・死ぬのは・・・恐い・・・」
葵 「うう・・・・」
自然と涙が出てくる
・・・何とも言えない感情がボクを襲う
・・・奇妙な感覚が・・・その中でひとつある
『自分がかわいそう』
客観的に自分を見ている自分が悲しんでいる
死んでいく自分に対して泣いている
そして、僕自身の恐怖、不安、辛さ、悲しみ・・・
葵 「ううう・・・グスッ・・・」
辛いなぁ・・・
こんな時に・・・いて欲しい人が居らん
葵 「う・・・ヒック・・・ヒック・・・・」
はよ起きて来てや・・・いつもボクが起こして
あげてたやんか・・・
朝寝坊はまだ治ってへんの・・・?
葵 「うう〜・・・ヒック・・・ヒック・・・ああ・・・・」
葵 「えっえっ・・・ううう〜ヒックヒック・・・」
ボクが・・・悲しんどるで・・・
はよ来て・・・慰めてやぁ・・・
早く・・・・
葵 「ううう〜・・・・ううう・・・・・」
くん・・・・
来て・・・また頭撫でて・・・や・・・・
なァ・・・・・・・
========== 8_282.SCO ==========
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
葵 「もう・・・お昼や・・・・」
葵 「・・・・・・・・」
葵 「
くん・・・遅いなぁ・・・」
葵 「まだ・・・寝てるのかなぁ・・・・」
時計を見る
針は、1時前をさしていた
はぁ・・・・
何してるんやろうな・・・
くん・・・・
・・・・・・・・
ううん・・・違う・・・んや・・・・
何してるかわからへんのは・・僕自身の方や・・・
ボクは今、何をすればいいんやろう・・・
このまま弱って・・・身体が動かなくなって・・・
そのまま死ぬのを・・・待つだけなんかなぁ・・・
窓の外を見る
葵 「・・・ええ天気やなぁ・・・・」
葵 「こんな日は・・・外で遊びたいなぁ・・・・」
葵 「テニスしたり・・・海で泳いだり・・・元気に
走り回りたいなぁ・・・・」
けれど、それはもう叶わない
人は自分の健康を失った時に、初めて自分の健康に
どれだけの価値があったかを知る
自分が健康であった時には気付かなかった財産
葵 「今のボクでは・・・走る事・・・歩く事さえも
できるかどうか・・・」
足を動かしてみる
葵 「・・・ん・・・・」
何とか動く
でも・・・今では自分の足が鉛のように重たい
葵 「・・・自分の身体を動かす事が・・・こんなに大事
だったって、今まで思わなんだなぁ・・・」
今やもう、走り回っていた自分が遠い昔の
ように思われる
歩いて・・・走って・・・跳ねて・・・
葵 「ボク・・・どうして・・・・」
葵 「こんなカラダになってしもうたんやろうなぁ・・・」
今やもう、ご飯もノドを通らない
さっきばあやがご飯作って持って来てくれたけど
それもすぐに吐き出してしまった
身体がもう、異物を受け入れなくなっていた
葵 「今はもう・・・この点滴だけやな・・・」
これで今、ボクは生きている、この細くて透明な
1本の管で・・・
葵 「これが命綱言うたら・・・ホンマに頼りない
命綱やで・・・」
そんなものに支えられている自分の命
・・・・・・・・・
あと何日持つのだろう
身体が急速に弱まっているのが自分でもよくわかる
間違いなく、死期は遠くない
でも、身体が弱まっても意識はまだしっかりしている
だからこそ恐い
このまま動けなくなって、死んでいくのが恐い
・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
再び、外を見る・・・
鳥が飛んでいた
群れを成し、翼をはためかせ、どこかへ優雅に
飛んでいく
葵 「いいなぁ・・・・」
葵 「元気に飛んでて・・・いいなぁ・・・・」
夏の空を舞う、その鳥達が羨ましかった
自分も鳥になって、どこかに飛んでいきたかった
恐怖も、不安もない、どこかへ
どこだって、今の自分よりはマシだと思うから
だから、鳥達が羨ましかった
葵 「・・・・・・・・」
またいつの間にか、ボクの頬には涙が伝っていた
葵 「うっうっ・・うう・・・うぐっ・・・ぐ・・・」
ボクはまた・・・
声をあげて泣いた
========== 8_283.SCO ==========
葵 「寝つけないなぁ・・・」
今日はとうとう
くんは部屋に来てくれなかった
ばあやに聞いても分からないって言うし・・・
・・・・・・・・
もう・・・いなくなってしもうたんかなぁ・・・
ボクを置いて・・・
ボクに・・・愛想つかせて・・・どこかに
行ってしもうたんかなぁ・・・
それだったら寂しいけど・・・
その方がええかもしれへんな・・・
ボクの側にいたって、辛い事しかあらへん
悲しい事しかないんや・・・・
ボクは悲しいけど・・・
くんが悲しくないん
やったら、それでええねん・・・
・・・でも・・・やっぱり・・・・
それやったら・・・辛いなぁ・・・・
好きな人がいなくなるのは・・・・
・・・また泣きたくなる
散々泣いても、まだ涙が出てくる
辛いなぁ・・・・
悲しいな・・・・・
・・・・・・・・・・
コンコン
葵 「・・・・・?」
ばあや・・・かな?
「・・・・・・・・」
「ただいま、葵ちゃん」
葵 「・・・・・・・」
「もう・・・寝てるの・・・かな?」
葵 「・・・・・・・・・・」
葵 「・・・起きてる・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「遅くなってゴメン」
「側にいてあげられなくてゴメン」
「これからはずっと葵ちゃんの側にいる」
「どんな事があっても側にいるから・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・」
「・・・それに・・・・」
「誕生日、おめでとう、葵ちゃん」
「今日から・・・18歳だね・・・おめでとう」
葵 「・・・・・・・・・・」
「ケーキ・・・買ってきたんだ・・・誕生日の
ケーキ・・・・ほら」
「・・・一緒に食べよう?・・・ね・・・?」
葵 「・・・・・・・」
葵 「いらない・・・」
「・・・・・・・・」
「欲しくない・・・?」
葵 「欲しくない」
「・・・・・・・・」
葵 「もう、何も食べられへんのや・・・」
葵 「
くんだけでも食べといてや」
「・・・そっか」
「・・・うん・・・」
「じゃあ・・一人で・・下で・・食べてるね・・・」
「・・・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
俺は、帰ってきた
昨夜・・・俺はここから・・・・
・・・葵ちゃんから逃げ出した
現実に耐えきれずに逃げ出したんだ
夜中ずっと、行くあてもなく車で走った、とにかく
ここから離れたかったんだ・・・
朝が来て・・・
昼が来て・・・・
車を降りた
そして、久し振りに町の中を歩いたんだ
すれ違う人々が全て遠い世界の人に感じ
俺は何も考えずに歩いた
疲れた心をそのままに、ただ歩いた
そして・・・
とある家の前を通ったとき・・・
とある、葬式を目にした
「・・・・・・・・」
俺は足を止め・・・その光景を見つめていた
黒い喪服に身をつつんだ人達
聞こえてくる人々の声
そして、涙を流す人・・・・
「・・・・・・・・・」
亡くなったのは年老いた男性のようだった
その参列には多くの人が並び、黙祷を捧げていた
「・・・・・・・・」
みんなが暗い顔だった
やがて式は進み・・・
家族が外に出てきた
みんな泣いていた
「・・・・・・・・・」
涙と嗚咽が場にあふれていた
その泣いている人達の中で俺と歳の変わらない
であろう男の子がいた
亡くなった人の孫だろうか、その写真を胸に抱いていた
その男の子もまた泣いていた
親しい人間の死に、悲しみで泣いていた
そして・・・
ふいに視界がぼやけた
いつの間にか、俺の目には涙があふれていた
「・・・・・うう・・・う・・・」
涙が止まらなかった
『俺は何をしているんだろう』
『何でこんな所にいるんだろう』
目の前に現実に見せられた死
そして、それに涙する人達
その涙によって、どれほどその人が幸せだったか
よくわかった
自分が死んで、泣いてくれる人があんなにいるのだ
そうだ・・・
俺は何をやってるんだ・・・・
葵ちゃんは・・・・
葵ちゃんは・・・まだ生きている・・・・
今、この世界で
同じ時間の中で生きている
会いたい
葵ちゃんに会いたい
愛する人の側にいたい
たとえその結末が辛く悲しいものだとしても・・・
その時に俺は、側にいたい
そして・・・・
彼女の為に、泣いてあげなきゃいけない
彼女の生きた証を・・・・
俺は・・・・
「・・・・・・・・」
だから、俺は帰ってきた
俺の今、いるべき場所はここなんだ
でも・・・・
「・・・・・・・・・」
机の上のケーキに目をやる
「せっかく買ってきて・・・一緒に食べようと
思ったのにな・・・・」
葵 『もう、何も食べられへんのや・・・』
その絶望的な一言が心に刺さった
「もう・・・何も食べられない・・・か・・・・」
ソファーに腰を下ろす
「・・・・・・・・・・」
ケーキを出してろうそくを立てる
「・・・・・・・・・」
火を灯す
そして、明かりを消す
「・・・・・・・・・・」
闇に光るろうそくを眺める
・・・・・・・・・
・・・また涙が出てきた
そのろうそくの炎が儚げで・・・
人の命も・・・こんなものなのかもしれないと・・・
だから、涙が出てくる
「・・・お誕生日おめでとう・・・・」
「葵ちゃん・・・・」
・・・・・・・
・・・・・・・?
葵 「ありがとう・・・・」
「葵ちゃん?!」
葵 「キレイやなぁ・・・・」
葵 「誕生日にケーキなんて・・・何年ぶりかなァ」
ふらふらと、頼りない足どりで歩いてくる
おそらく立っているだけでも辛いはずなのに
葵 「わぁ・・・・」
葵ちゃんの瞳にろうそくの火が映る
そして・・・・
葵 「おいしそうやなァ・・・・食べてエエんか・・・?」
「・・・・・・・」
「食べていいも何も・・・・」
「これは葵ちゃんの誕生日ケーキなんだから・・・」
「葵ちゃんは食べてもいいんだよ・・・」
葵 「・・・・・・・」
葵ちゃんはそのまま手でケーキをひとつまみし・・・・
葵 「・・・・・・・・」
葵 「・・・・おいしい」
「そう・・・よかった・・・・」
また手でケーキをつかみ、口へと運ぶ
葵 「・・・・おいしい」
「・・・・ん・・・」
「よかった・・・・」
俺の目に熱いものがこみ上げてくる
いけない・・・泣いちゃいけない
葵ちゃんは精一杯、頑張って生きている
だから今は泣いちゃいけない
葵 「・・・・おいしい」
「・・・・・・・・」
葵 「・・・良かった・・・」
「うん?」
葵 「・・・またひとつ、夢が叶ったんや・・・」
葵 「・・・・・・・」
葵 「ちゃんと・・・生きたまま18歳になれた・・・」
葵 「嬉しいな・・・」
くんと一緒にケーキまで食べられたんや
もうこれ以上のことはあらへん」
葵 「・・・良かった・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・う・・・」
こらえきれず目から涙があふれる
あまりに儚いその存在に
掴もうとしても掴めないその想いが
涙になって流れていく
「うう・・・ぐっ・・・・うう・・・」
葵 「・・・
くん・・・泣かんといてや・・・」
葵 「ホラ、涙拭いて・・・」
「うっ・・・うううっ・・・ぐっ・・・・」
葵 「・・・・・・・」
葵 「ホラ・・・ケーキ美味しいで・・・」
葵 「
くんも食べてみ・・・?」
そう言って葵ちゃんは手にとったケーキを俺に
差し出す
「・・・・・・・・・」
葵 「・・・どう?美味しいやろ?」
「・・・・・・・・・」
「うん・・・・」
「美味しいな・・・・」
葵 「うん・・・・」
葵 「良かった・・・」
儚く燃えるろうそくの炎の中、2人は生きていた
お互いに泣きながらケーキを食べた
その一瞬とも思える永遠の時間が今までで、1番
貴重だと思える時間となった
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
そして・・・
・・・・そして皮肉にも・・・・
その誕生日ケーキが・・・
葵ちゃんの食べた最後の食事となった・・
========== 8_291.SCO ==========
この日は、朝から雨が降っていた
どんよりとした空から、水の滴が絶え間なく
降り続けていた
そして・・・・
葵ちゃんは今朝あたりから、ずっと熱が出ていた
葵 「う・・・・」
葵 「はぁ・・・あっ・・・は・・・は・・・・」
今までにない高熱
その苦しそうな表情が葵ちゃんの受ける苦しさを
嫌というほどに感じさせる
「・・・・・・・・」
タオルを変え、汗を拭いてあげる
そして手を握る
「・・・葵ちゃん・・・・」
葵 「う・・・うう・・・・」
ガチャ
「あ・・・ばーさん・・・・」
ばあや「・・・・・・・・」
ばあや「お嬢様の様子は・・・どうですじゃ?」
「・・・・・・・」
「・・・苦しそうにしてる・・・・」
「熱も相変わらず高いし・・・汗もひどい」
「葵ちゃん・・・・」
ばあや「・・・・・・・・」
ばあや「・・・あなたの方こそ少し休んだ方がええ
昨日からずっとお嬢様を看ておられる」
ばあや「何か食べて休みなされ・・・・」
「・・・・ん・・・・」
「まだ大丈夫だ・・・もう少しだけ葵ちゃんの
傍にいたいから・・・・」
ばあや「・・・そうですか・・・・」
ばあや「一応、食べ物を持ってきますじゃ・・・少しは
何か食べた方が良い」
「・・・すまねぇ」
そうだ、今の俺にはただ葵ちゃんの傍にいてあげること
しかできない、手を握ってあげる事しかできない
でもそれで葵ちゃんの苦しみが少しでも安らぐ・・・
そう葵ちゃんは言ってくれたから・・・
「・・・・・・・」
手から、葵ちゃんの温もりを感じる
今はその手は熱く
それでいて細く、弱々しかった
「・・・・・・・・」
ばあや「それでは、私は下で用意しておきますじゃ」
「・・・なぁ、ばーさん・・・」
ばあや「・・・はい?」
「・・・さっきの話・・・本当だよな・・・?」
ばあや「・・・・・・・・」
「葵ちゃんの・・・命・・・・」
ばあや「おそらく・・・・」
ばあや「お嬢様の命は・・・もってあと2,3日ですじゃ」
「・・・・・・・・・・」
ばあや「度重なる高熱と衰弱に、身体の方がもう
持ちませんですじゃ・・・・」
ばあや「これが・・お嬢様を苦しめた病気の正体・・・」
俺は自分でも驚くほど冷静だった
俺には医学とかそんなのは全然わからない
けれど・・・・
弱ってく葵ちゃんを見たら、なんとなく理解した
だからこそ
ずっと最後まで、傍にいたい
24時間、ずっと一緒にいるつもりだ
そして・・・
「葵ちゃんが・・・最後まで安心できるように・・・」
傍にいるんだ
葵 「う・・・・」
葵 「・・・・・・・・」
「・・・葵ちゃん?」
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「・・・あれ・・・・?」
「目が・・・覚めた?」
「・・・気分はどう?」
葵 「・・・え?・・・私・・・どうして?」
葵 「カラダ・・・熱い・・・動かない・・・」
葵 「え?どうして?なんで?私・・・わたし・・・」
「葵ちゃん?」
どうにも様子がおかしい
「どうしたの?苦しいの?痛いの?」
葵 「・・・・・・」
葵 「あなた・・・誰ですか・・・?」
「・・・・え?」
葵 「なんで・・・私の部屋に・・・」
誰ですか・・・って・・・・
「俺の事・・・忘れちゃったの・・・?ホラ・・・」
俺は強引に葵ちゃんの手を掴む
葵 「いやっ・・・!」
葵 「やめてっ・・・離して・・・」
「・・・葵・・・ちゃん?」
なんだ・・・?
なんで・・・俺の事忘れてるんだ・・・?今の今まで
ずっと傍にいて・・・さっきまで・・・・
ばあや「・・・記憶が混乱しておられるのですじゃ・・・」
「・・・ばあさん?」
ばあや「高熱が長く続いたせいで、記憶を制御する
脳に影響を与えたのですじゃ・・・」
ばあや「しばしば・・・見られる傾向・・・」
「そんな・・・・」
「葵ちゃん、俺の事・・・忘れたって言うのかよ?」
葵 「ばあや・・・この人・・・誰?」
葵 「それに・・・身体がおかしいよ・・・熱いよ・・・
身体が上手く動かせないよっ・・・・!」
ばあや「お嬢様・・・落ち着いてくだされ・・・」
葵 「ばあや・・・!なんで?カラダ・・・おかしいよっ!
なんで?なんで・・・っ?!」
「葵ちゃん・・・落ち着いて・・・・」
葵 「イヤっ!来ないでよぉ!」
葵 「うあぁぁ・・・・」
とうとう泣き出してしまった
ばあや「お嬢様・・・・」
「・・・・・・・」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・」
ばあや「一応、鎮静剤をうっておきましたですじゃ」
「・・・・・・・・・・」
ばあや「ですが、また起きて・・・暴れられたら・・・」
「うん・・・」
「大丈夫・・・俺が看てるから・・・・」
ばあや「・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・
ずっと・・・一緒にいるって約束したんだ・・・
たとえどんな事があっても・・・・
たとえ・・・葵ちゃんが俺の事を忘れても・・・
========== 8_292.SCO ==========
葵 「うあーん・・・」
葵 「えっぐ・・・えっぐ・・・うう・・・」
・・・・・・・・
あの夏・・・ボクは大切な友達を失った
暑い夏の日を駆け抜けた友達
初めて出来た、ボクの友達
でもその出会いもたったのひと夏で・・
残酷な別れが待っていた
ある日突然・・・
あの子に会いに行ったら・・・・
その子は、眠っていた
そして2度と目覚める事はなかった
葵 「うわぁーん・・・うあぁぁ・・・あ・・・うう・・」
その時のボクは死と言うものが漠然としか
わかっていなかったんや
ただ、その子はもう動かない
もう遊ぶ事もできない事はわかった
でも、ボクはただがむしゃらに走って・・・
町の病院や、薬屋を走り回った
医者に見せたら、きっとあの子はまた元気になる
そんな思いだけが空回りして・・・・
ただ暑い日差しの中、1日中走って・・・・
汗だくになって・・・・
泥だらけになって・・・・
涙で顔をぐしゃぐしゃにして走って・・・・
結局残ったのは、疲れと、傷だらけの自分・・・
そして、その子の亡骸・・・
そして、僕自身の悲しみだけだった
葵 「うううう・・・うぐっ・・・ぐ・・・うう・・・」
葵 「ヒック・・・ヒック・・・ヒック・・・うう〜」
泣いても泣いても悔やみきれなかった
そして、死というものがどういう事なのかその時に
なって初めて実感された
死というものが恐ろしくて、恐ろしくてたまらなかった
それと同時に
ボクはその子への深い悲しみと後悔が襲ってきた
『ボクはこの子に何をしてあげたんだろう』
『この子が苦しんでいたのに、ボクは何もできなかった』
『なぜ自分はこの子を助けてあげなかったんだろうか』
『この子は本当に、幸せだったんだろうか』
その時になって初めて、ボクはその犬に名前さえ
つけてなかった事に気付く
その犬に対しての申し訳なさと
深い悲しみと
そして死への恐怖がボクの中でうずまいてた
葵 「えぐっえぐっ・・・ああぁ・・・う・・・」
葵 「うぐっ・・・ごめんね・・・ごめんね・・・」
葵 「ボクが頼りないせいで・・・・」
葵 「ごめんね・・・・」
・・・・・・・・
でも・・・今考えると・・・・
あの時に泣いたボクは・・・・
偉かったんだと思う・・・
大切な存在の死に、悲しみを感じ、涙を流す
その涙は、どれだけ相手を大切に思ってたかという
まぎれもない証だから
ボクはあの時、あの子のために泣いた
・・・・・・・・
そう・・・だよね・・・だって
自分が死んで・・・誰も悲しんでくれないなんて・・・
寂しすぎるもんね・・・だから・・・・
・・・・・・・・
そう・・・だよね・・・・
くん・・・・
========== 8_301.SCO ==========
人は生きるために生きている
終わりを待つのではなく・・・
今を歩き、走りそして時にはつまづき・・・転び・・・
でも・・そこで誰かが手を差しのべてくれる
そんな存在が人にとっては命より大事な事もある
俺には葵ちゃんがそんな存在だったのかもしれない
お互いを助け、手を取って歩いていく
道は遠くても
往く先は分からなくても
今を頑張って生きている
・・・・・・・・・・・
人は生きるために生きている
終わりを待つのではなく
葵ちゃんに残された時間はもう残り少ない
けれど、1分でも1秒でも
葵ちゃんに思い出を残してあげたい
たとえ、2人が離れ離れになったとしても・・・
せめて−
せめて、記憶の片隅に・・・
朝か・・・
やっぱり・・・時間は・・・無情にも過ぎて
いくものだよな・・・
「・・・・・・・・」
そっと、葵ちゃんの髪を撫でる
昨日からずっと眠り続けている
まだ・・・熱はあるみたいなのに・・・
顔は、驚くほど穏やかで・・・
葵 「・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・
呼吸が、消えそうに、小さい
そして時々、思い出したかのように葵ちゃんは
苦しみだす
一晩中、俺はその様子を見て、本当に今まで
味わった事のない辛さが貫いた
けれど・・・・
葵ちゃんは・・・必死で生きているんだ・・・
必死に生きようとしている
けれど、そんな辛そうな姿を見ても、俺はもう
涙を流す事はなかった
葵ちゃんはこうやって
懸命に生きようとしているのだから
「・・・・葵ちゃん・・・頑張って・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・
ばあや「
さん・・・・」
「・・・ん・・・・」
ばあや「おそらく・・・お嬢様は・・・今晩が
峠ですじゃ・・・」
「・・・・・・・・・」
ばあや「最後の・・・生きようとする抵抗・・・」
ばあや「
さん・・・是非とも最後までお嬢様の
お傍にいて下さいな・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・ああ・・・もちろんだ・・・」
葵ちゃんの手を握る
そしてその弱々しい手は、強く握り返してくる
生きようとしている
消えそうな命の火の最後のきらめき
「・・・・・・・・」
俺も強く、握り返す
葵ちゃんの熱い手の温もりがその命の存在を
強く示しているような気がした
・・・・・・・・・・
窓の外には、鳥が飛んでいた
そしてすぐにその鳥は・・・
窓の視界から消えた
目で追いかけても、それはいつしか消える
残ったのは、ただ蒼い、夏の空
そこには、悲しみや苦しみはないのだろうか
ならば、そこで俺は葵ちゃんと生きていきたい
許されるのならば・・・
そう・・・せめて・・・・
========== 8_302.SCO ==========
「・・・・・・」
「葵ちゃん・・・・?」
葵 「・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・」
「起きたの・・・?葵ちゃん」
葵ちゃんの目が開き、そのまま1点を
見ている
「体の調子はどう?大丈夫?どこか痛かったり
しない?苦しくない?」
ばあや「・・・お嬢様?」
葵 「・・・・・ぃ・・・・・」
「ん?」
何かを言っているのだが、声が小さくてうまく
聞き取れない
葵 「・・・に・・・・い・・・・」
葵ちゃんの口元に耳を近づける
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「サクラ・・・見に・・・行きたい・・・・」
「・・・・桜・・・?」
「・・・また・・・桜を見たいの?夏桜?」
葵 「・・・桜・・・見える・・・キレイ・・・・」
「・・・・・・」
そっか・・・桜・・・見たんだよな・・・葵ちゃんと
ちょうど1週間前に・・・・
葵 「うわぁ・・・」
葵 「キレーやなぁ・・・」
葵 「今・・・真夏なのに・・・本当に
咲いてるんやなァ・・・・」
「ああ・・・なんか変な感じだけどね・・・
今が春みたいな気持ちだよ」
周りを見渡すと、辺りには数人の人々が
夏の夜桜を楽しみに来ていた
その様子は正に春に見る桜見そのものであり
誰もが桜に酔いしれていた
「夏に咲く桜・・・か、はじめて見たけど
結構いいもんだね」
葵 「そうやな・・・ボクも初めてや・・・」
葵 「なんだか・・・本当に・・・・」
葵 「来て良かったと思う・・・・・」
・・・・・・・・
できることならば、俺も葵ちゃんともう一度
桜を見に行きたい
でも・・・
でも葵ちゃんがこの状態じゃ・・・あまりに
危険だから・・・
葵 「・・・サクラ・・・見たい・・・・」
「・・・葵ちゃん・・・桜を見るのはまた今度に
しよう・・・・」
「・・・ね・・?また・・・元気になったら・・・
一緒に見に行こう・・・」
「だから、今は・・・・」
ばあや「・・・・行ってきなされ」
「・・・え?」
ばあや「それがお嬢様の望みなら・・・できることならば
叶えてあげてくだされ・・・・」
ばあや「おそらく・・・お嬢様の最後の望みですじゃ・・・」
「で、でも・・・あそこまでは遠くて・・・行って
帰ってくるだけでも半日はかかるだろうし・・・」
葵 「・・・桜・・・・」
葵 「・・・見たい・・・・」
「・・・・・・・」
ばあや「・・・
さん・・・・」
「・・・・・・・・・」
葵 「見たい・・・桜・・・・・」
うわ言のように繰り返す
その目は俺を見ているようで見ていない
もっと遠くを見ているようだ
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・うん・・・」
「・・・行こうか・・・・・」
「夏桜・・・見に行こう・・・一緒に・・・」
葵 「・・・桜・・・見たい・・・」
「うん、行こう、ちょっと遠いけど・・・頑張ろうね」
ばあや「・・・お気をつけて・・・」
「ああ、すまない・・・じゃあ、行ってくる」
ばあや「・・・・・・・・・」
ばあや「お嬢様・・・・」
毛布をかけてあげて、葵ちゃんを抱き上げる
驚くほど軽いその身体をゆっくりと運んでいく
ばあや「お嬢様」
ばあや「行ってらっしゃいませ・・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・
ドアを閉めると・・・
中から、すすり泣く声が聞こえた
・・・・・・・・
車は順調に進んだ
俺は隣の助手席に座っている葵ちゃんに常に
注意を配っていた
「・・・葵ちゃん、今日は道が空いてるみたいだから
結構早く着くと思うよ」
葵 「・・・・・」
「そうだな・・・あと4時間・・・くらいかな?」
葵 「・・・・・・・・」
「葵ちゃん?」
隣を見る
目を閉じて眠っている・・・
息は・・・してる・・・
・・・胸も小さく上下して
ちゃんと呼吸を行っている
「・・・寝ちゃダメだよ・・・もっとお話しようよ
たっぷり時間はあるからさ」
「そうだ、この前葵ちゃんが自分の昔話して
くれたから、今度は俺がしようか?」
「でもなぁ・・・俺の昔話って言っても、特に何も
面白い事なんてないかもしれないけど・・・」
「普通に生きて、普通に学校行って、普通に
家でマンガ読んで・・・ゲームして・・・」
「友達と遊んで・・・部活して・・・浪人して・・・」
「そして・・・・」
「葵ちゃんに・・・出会って・・・」
そうだ、何もなかった、何もかも最後に捨てた
・・・捨てようとした俺の人生
そんな中で出会った、たった1人の人で
俺の人生は変わったんだ
だからそれまでの人生も決して無駄だったんじゃなく
このためにあったのだと思えば
その人生は価値があったと思えてくる
「葵ちゃん・・・?」
葵 「・・・・・・・・」
葵ちゃんの瞳は閉じたままだった
でも俺の言葉は、彼女の心に届いているような
気がした
道はまだ続いていた
俺達の求める場所は遠い、けれどもその場所は
とても近い気持ちがした
空を見上げても、もう鳥はいない
代わりにあるのは青い、蒼い夏の空
白い雲
今ではそれらでさえ、何か物悲しい存在に見えてきた
いつかは消える雲、夜になると見えない空
・・・・・・・・・・・・
「葵ちゃん、空が綺麗だよ」
葵 「・・・・・・・・・」
「もうすぐ・・・夏も終わりだね・・・」
========== 8_303.SCO ==========
「ウソ・・・だろ・・・・」
「なんで・・・?」
俺達は目的の場所へと着いた
1週間前、2人で桜を見にきた場所だ
けれども・・・もう・・・
「・・・・・・・・・」
「・・・みんな・・・散っちゃってる・・・」
周りの木々はもう緑色の葉をつけ、夏の木々に
戻ってしまっていた
あんなにたくさんあった夏桜も、今はもう
1本もそこにはなかった
「・・・・・・・・・・・」
俺は、途方に暮れた
桜はなかった
葵ちゃんの最後の願いが叶えられなかった
「・・・・・・・・」
俺の背中から、体温が伝わってくる
弱々しい寝息が聞こえる
「葵ちゃん・・・・」
「・・・桜・・・ないよ・・・どうしよう・・・・」
「もう・・・なくなってる・・・よ・・・」
1週間前、ここには見事な夏桜があった
美しくて、見とれるほどだった桜
その中で俺達は・・・
「・・・・・・・・・」
俺は1本の木の下に座り込んだ
期待を強く裏切られた現実に怒りを感じ・・・
そして自分が情けなかった
「ごめんね・・・葵ちゃん・・・・」
「桜・・・もう見れないよ・・・・」
「ごめんね・・・葵ちゃん・・・・」
「桜・・・もう見れないよ・・・・」
「この前・・・雨が降ったからかな・・・?」
「見れたら・・・よかった・・・のに・・・ね・・・」
また泣いてしまう
葵ちゃんのささやかな願いすら、叶える事が
できなかった
自分の無力さが悔しかった
「葵ちゃん・・・・」
髪を撫でてあげる
こうされるのが葵ちゃんは好きだったから
優しく、撫でてあげる
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
葵 「・・・・ん・・・・」
「・・・ん?葵ちゃん・・・起きた?」
「お疲れ様・・・夏桜・・・見にきたよ・・・」
「・・・でも・・・」
葵 「・・・・・・・・」
葵 「・・・キレイやなぁ・・・・」
「ん?」
葵 「・・・サクラ・・・・」
葵 「・・・桜・・・キレイや・・・なぁ・・・・」
「・・・・・・・」
葵 「桜・・・ええ香りがする・・・・」
葵 「・・・ほら・・・キレイに・・・咲いてるやん・・・」
「・・・・・・・・」
「そっか・・・葵ちゃんには見えるんだね・・・」
葵 「なぁ・・・キレイに・・・咲いてる・・・・」
「うん・・・」
「綺麗だね・・・・」
「満開・・・桜が咲いてるよ・・・・・」
「夏に咲く桜・・・・」
「夏桜が・・・・咲いてる・・・・・」
涙で何も見えない目に桜が見えた
夏桜が咲いて、散っていた
満開の夏桜が俺達を出迎えてくれていた
葵 「
くん・・・キレイやなぁ・・・・」
「うん・・・・」
「キレイだ・・・・」
葵ちゃんが俺の名を呼んだ
彼女は忘れてなんかいない
俺との日々を忘れていない
今こうして、俺達は生きている
葵 「・・・また・・・ひとつ・・・・」
「ん?」
葵 「夢が・・・叶ったなァ・・・・」
「・・・ん?どんな夢・・・・?」
葵 「・・・約束・・・したやんか・・・・」
葵 「・・・・また一緒に
くんと・・・
夏桜見に来るって・・・」
「・・・・・・・・・」
葵 「よかった・・・・」
葵 「願いが・・・またひとつ・・・叶った・・・」
「・・・そっか・・・良かったね・・・・」
葵 「うん・・・」
「願い事・・・か・・・・」
「もう・・・他にはないの?」
「俺にできる事だったら、何だってするからさ」
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・・・」
葵 「そうやなぁ・・・・・」
葵 「・・・ひとつ・・・あるんやけど・・・・」
「ん?何?」
「・・・ヒミツ・・・や・・・・」
「何だよ、それ・・・教えてよ」
葵 「・・・恥ずかしいねん・・・ヒミツや・・・」
「教えてよ、どんな事だってするからさ」
葵 「・・・ヒミ・・ツ・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・・」
そのまま葵ちゃんは目を閉じた
葵 「・・・・・・・・・」
その弱い弱い呼吸が
今にも止まってしまいそうな心臓の鼓動が
彼女の存在をどんどん稀薄にしていった
「葵ちゃん・・・桜は・・・もう見ないの?」
「ホラ・・・綺麗だよ・・・」
夏の桜、セスリス
夏に咲く桜のように、人の命は儚いけれど
生きる苦しみも、死を待つ悲しみも忘れさせてくれた
そんな彼女が、今、俺の手の中で生きている
「・・・・・・」
「・・・帰ろっか・・・・」
「俺達の家に・・・・」
「帰ろう・・・・」
桜はまだ咲いていた
俺達がいなくなっても、桜は咲いていた
俺の中で、それが見えた
思い出の中で、夏桜は咲き続けていた
帰りの車の中でも、俺は葵ちゃんに話し続けた
葵ちゃんが眠ってしまわないように・・・
「ね?起きてようよ、もっと話しよ?」
葵 「ん・・・」
「寝ちゃダメだよ、ね?」
葵 「・・・ん・・・・」
「桜・・・綺麗だったね・・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
「葵ちゃん?」
葵 「・・・ん・・・・」
「明日はどこに行こうか?どこか行きたい所ある?」
「遊園地とか・・・映画とか・・・カラオケとか・・・」
葵 「・・・ん・・・・」
「あ、またお買い物とかどうかな?」
葵 「・・・ん・・・・」
「・・・・・・・・」
「葵ちゃん・・・聞いてる・・・?」
葵 「・・・ん・・・・」
葵 「・・・聞いてる・・・よ・・・・」
「・・・・・・・・・・」
生命は海から生まれたという
そして、地に還るという
なんでかな・・・?
海から生まれたのなら、海に還ればいい
「・・・ホラ・・・葵ちゃん・・・海だよ」
葵 「・・・ん・・・・」
「夜だからよく見えないかもしれないけど・・・
この浜辺なんだよ・・・」
「俺達が初めて出会ったのは・・・・」
葵 「・・・・・・・」
「そっか・・・・」
「俺、あの時自殺しようとしてたんだっけ・・・」
「なんで・・・あんな事考えてたのかな・・・」
「本当に今から考えるとわかんないよ・・・」
「人生にはいろんな事があって・・・楽しい事も
面白い事もある」
「辛い時もあるけど・・・でも・・・」
「辛い時があるからこそ、楽しい時にその価値が
わかるのかもしれないね・・・・」
葵 「・・・・・・・・・・」
「葵ちゃん?」
「起きてる?」
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「・・・ん・・・・」
「・・・・・・・・・」
「でさ、ここで葵ちゃんに会って・・・・今までの
2週間過ごして・・・・」
「いろんな事があったんだ」
「楽しい事も、辛い事も・・・いろんな事が
ありすぎて、どうしようかと思った」
「楽しい事も・・・・」
「辛い事も・・・・」
「そして・・・・・」
「本当に・・・人を愛するという事・・・・」
「この2週間で・・・たくさん笑って・・・・
たくさん泣いて・・・」
「それでも、まだ生きていたいと思う」
「好きな人と一緒に」
「・・・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・」
「葵ちゃん?」
葵 「・・・ん・・・・」
葵 「起きてるよ・・・・」
「・・・・うん・・・」
「ね・・・葵ちゃん・・・・」
葵 「・・・ん・・・・」
「さっき言ってた、願い事って何?」
葵 「・・・・・・・」
葵 「・・・・ヒミツ」
「ね、教えてよ」
「・・・誰にも言わないからさ・・・ね?」
葵 「・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「・・・・っ・・・・・・ん・・・・」
「ん?」
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「・・・けっこん・・・したい・・・ねん・・・・」
「結婚?」
葵 「・・・・・・・」
「結婚か・・・・」
「さすがに・・・それは今すぐはできないかな・・・」
葵 「・・・・・・や・・・・」
葵 「・・・しようや・・・・」
葵 「今すぐ・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・うん、そうだね・・・今すぐ結婚しようか」
「相手は・・・俺でいいの?」
葵 「・・・・ん・・・・」
葵 「・・・キミしか・・・・・」
葵 「・・・・・アカンのや・・・・」
「そっか・・・・」
「じゃ、結婚しようか、うん」
「今から、たった今から、2人は夫婦だ」
葵 「・・・・・・・・・」
「嬉しいな、俺、葵ちゃんの旦那さんだ」
「葵ちゃんは、俺の奥さん」
葵 「・・・・・・い・・・・」
「ん?」
葵 「・・・うれしい・・・・」
「・・・・・・・・」
「うん・・・・」
「・・・良かった・・・・・」
葵 「・・・・・・・・」
葵 「・・・・しき・・・」
「・・・うん、そうだね・・・結婚式しなくちゃね」
「この浜辺が結婚式場で・・・潮騒が音楽で・・・
お客さんは・・・夜空の星々だ」
「さしづめ・・・月が神父さんってトコロかな?」
「ホラ、今夜は月があんなに綺麗だし」
葵 「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「葵ちゃん、ホラ、起きて、式を始めるよ」
葵 「・・・・・・・・・」
「でも、結婚式の段取りなんてよく知らないから・・・」
「まぁ・・・誓いの言葉だけでいいよね・・・」
葵 「・・・・・・・・・・」
「えっと・・・・」
よ、あなたは日向葵を一生、パートナー
として生きていく事を誓いますか?」
「・・・・・・・・」
「はい、誓います」
「・・・・・・・・」
「では日向葵よ、あなたは
を一生パートナー
として生きていく事を誓いますか?」
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「・・・・・・・・・」
葵 「・・・ちかい・・・・ます・・・」
「うん、じゃあ・・・誓いのキスを・・・」
そして−
葵ちゃんと、唇を重ねる
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・?」
「おーい、葵ちゃん、起きてよ」
「結婚式、終わったよ?」
「おーい、葵ちゃん・・・・」
キスをした時に
葵ちゃんの呼吸は
止まっていた
「葵ちゃん?ほら、起きてよ」
「ね・・・?」
「葵・・・ちゃん・・・・」
「あ・・・お・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「わああああああぁぁぁ!!!!」
「ああああああああああっっ!!!」
「あああああああああああああ・・・・ああっ!!!」
俺は泣いた
喉を裂くような声を出して泣いた
目が痛くなるほど、涙が流れて止まらなかった
何も考えられず
何も見えず
何も聞こえず
ただ泣いた
手の中で体温を失っていく彼女を抱きしめ
何もかもが悲しくて泣いていた
「うっ・・・ぐっ・・・ぐぐぐ・・あああっ・・・っ」
「ああああ・・・あああ・・・う・・ううう・・・・」
止まらぬ涙と感情に、俺は狂っていた
そして−
その時−
ひとつ、夏の空に風が吹いた
「・・・・・・?」
葵 「
くん」
「・・・葵ちゃん・・・・」
葵 「・・・・・・・」
夢か・・・
幻か・・・・・
そこには彼女がいた
昔の・・・・
出逢った時の葵ちゃんがいた
髪が長くて・・・・
白い服を着た・・・・
あの頃の彼女だ
「・・・葵ちゃん・・・・」
葵 「・・・・・・・・」
葵 「・・・ありがとう」
葵 「・・・ボクのために泣いてくれて」
葵 「ありがとう」
葵 「最後に、君が泣いてくれた」
葵 「だから、ボクは不幸なんかじゃない」
葵 「・・・だから、ありがとう」
「葵・・・ちゃん・・・・」
葵 「・・・葵って呼んでや」
葵 「ボクら、夫婦なんやろ?」
「葵ちゃん・・・俺は・・・俺は・・・・」
「・・・俺は君に何もしてあげられなかった・・・」
「ごめん・・・本当にごめん・・・・」
「ごめん・・・・・」
涙が、まだ止まらない
俺の目はおかしくなってしまったのかもしれない
泣いても、泣いても、まだ悲しい
葵 「・・・・・・・」
葵 「ううん・・・
くんのおかげで・・・ボクは
今まで生きてこれたんや」
葵 「ありがとう・・・・」
葵 「本当に・・・・ありがとう」
葵 「キミに出逢えて」
葵 「本当に良かった」
葵 「キミのおかげで」
葵 「ボクの短い人生にも、価値があったから」
葵 「だから・・・ありがとう」
葵 「ありがとう・・・・」
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
俺は泣いていた
海に還っていった彼女を抱いて
何も返事を返してくれない葵ちゃんを
強く、強く抱いて・・・・
その彼女と出逢った浜辺で・・・・
朝がくるまで俺は泣いた
========== 8_311.SCO ==========
遺書−
8月24日
日向 葵
拝啓−
様
この遺書は、僕が死んだ次の日にばあやから
あなたの手に届いているはずです
あんまり書きたくないけど・・・これは
遺書ってやつです・・・
でもあんまり、遺書の書き方なんて分からないから
自分の思った事を書きます
・・・・・・・・
書くのはつらいけど・・・・
でもこれは大切な事かもしれないので・・・・
頑張って書きます
・・・・・・・・・・・・・
まず最初に、あなたに黙っていた事があります
最後までたぶん言えないと思うからここで
言っておきます
あの日・・・
ボクとキミが・・・最初に出逢った日・・・
あの時・・・
ボクは、キミと同じく自殺しようと思っていました
・・・・・・・・・・
いつ倒れてもおかしくない身体
いつ死ぬかもわからない、不安だらけの命
このまま身体が弱って、もうすぐ死ぬだけ
そんな自分にもう耐えられなかった
・・・・・・・・
そんな時、君と出逢いました・・・・
キミは言いました
死にたいと・・・・
生きていく事に疲れた・・・・と
その時、心底ボクは怒りました
なぜ、キミが死ななきゃいけないのか
健康な身体をして、なぜ死のうとするのか
これから生きていこうと思えば、何十年も生きて
いくことができるはずなのに
・・・・・・・・
あと数日で終わる・・・ボクと違って・・・
・・・・・・・・・
だから、ボクは残り少ない時間をキミと過ごす
事にしました
だって、君がいなければ
あの日、あの場所にいなければ
ボクがあの日、あの場所でいなければ
2人とも、お互いを知らずに死んでいました
だから・・・・
お互い、命を助け合った
キミがボクを救い・・・
ボクがキミを救った
そう考えるとボクは生まれてきてよかったんだ
そう思えるから・・・・
・・・・・・・・
キミと出逢って・・・もう1週間になります
この1週間の間、いろんな事がありました
・・・いつからキミの事を好きになっていたのかな?
テニスの時・・・かな?
落ち込んでいたボクを、優しく励ましてくれた・・・
そんなキミの優しさが嬉しかった
だから・・・・
ボクはいつの間にか、キミの事が好きになってました
・・・・・・・
昨日、キミと夏桜を見に行きました
とても桜が綺麗でした
そして、そこでボクはキミに告白しました
そうするとキミは・・・・
僕の残り少ない命でも、最後まで一緒にいてくれると
言ってくれました
・・・・ただただ、嬉しかったです
・・・・ありがとう
あの後、取り乱しちゃってごめんなさい
でも、キミはそんなボクを慰めてくれました・・・
・・・いつの間にか守る側から、守られる側に
なってました
そして昨日の夜・・・キミはボクを愛してくれました
・・・嬉しかったです
キミと結ばれて・・・・
・・・・・・・
今日、ボクは髪を切りました
今まで病気を宣告されてから伸ばし続けていた髪
これも・・・ボクが生きた証
切った髪は、この手紙と同じ所に置いておきます
できれば・・・キミに持っていて欲しい・・・
いつまでもボクがキミの傍にいるように・・・
今日はこの後、キミと夏祭りに行きます
楽しみです・・・・
でも・・・またボクは泣いてしまうかもしれません
でも・・・またキミが慰めてくれるよね?
だから・・・もう恐くないです
死ぬのは・・・恐いけど・・・・
恐くて・・・恐くて・・・たまらないけど・・・
今は少しでも長く生きていたいから・・・
キミの傍にいたいから
たぶん・・・この手紙を書いてから・・・・
2,3日中に・・・ボクの身体はおかしくなると思います
身体のどこかが変わっていくのが自分で分かります
だから・・・いま、こうやって・・・・
まだ、元気なうちに・・・・
頭がはっきりしているうちに筆をとりました
・・・・・・・・
この手紙を読んでるキミは・・・泣いているかな・・・?
ボクが死んで・・・・
キミは泣いてくれるかな・・・?
泣いてくれてたら、ヘンな言い方だけど・・・
少し嬉しい・・・・
・・・・・・・
こうやって書いてるだけで・・・・
ボクの涙はどんどん流れてきます
もう・・・何を書いていいのか・・・・
何を書いているのか・・・よくわかりません
・・・・・・・・
・・・・あなたが・・・呼んでいます・・・・
もう・・・夏祭りに行かなくてはいけません・・・
最後に・・・・
1番書きたかった事を書きます
・・・・・・・・・・
愛しています
たとえボクが存在しなくても・・・その事実は
いつまでも、この手紙を証として残します
たとえ・・・ボクがいなくなっても・・・・
・・・・・・・・
ありがとう・・・・
そして、さようなら
いつか・・・・
またいつの日か・・・出逢えることを願って・・・
8月24日 金曜日
午後4時32分−
日向葵
・・・・P.S
ボクからの、最後のお願い・・・・
・・・・・・・
生きて下さい
ボクが死んで・・・たとえ辛くても・・・・
悲しくても・・・
ボクの後を追わずに、精一杯生きて下さい
あなたが生きているという事が・・・
ボクが生きていたという証です
ボクは、いつもキミの中にいます
だから・・・・
そう・・・・
せめて・・・・・・
・・・・・・・・
せめて記憶の片隅に−
========== 8_312.SCO ==========
葵−
葵・・・俺はまだ生きているよ・・・
・・・キミとの約束どおり・・・
俺は・・まだ生きている・・・
「・・・・・・・」
あれから、幾度となく夏をむかえた
けれど俺の心は、あの夏から止まったままだ・・・・
心に大きな穴が空いた・・・
「・・・・・・・・」
けれども・・・・
この心の穴が・・・・
君が生きていたという証拠なんだ・・・・
確かにキミは生きていたんだ
夏の・・・あの夏の日を・・・俺と・・・・
・・・・・・・・・
青い、蒼い、夏の空
あの日と同じ、夏の空
鳥が飛んでいる
そして・・・・
「・・・・・・・・・」
葵・・・ちゃん・・・・
キミと過ごした2週間・・・・
俺は忘れない−
14日・・・・
たったの14日だったキミとの生活・・
波の音と共にキミは現れて・・・
そして、夏の風と共に消えた・・・
・・葵・・・・・・
まだ・・憶えているかな・・・?
できれば・・忘れないで欲しい・・
そう、せめて・・・・・・
・・・・・・・・
せめて記憶の片隅に−
「・・・・・・・・・」
「じゃあ・・・もう行くよ・・・葵ちゃん・・・」
「・・・・ありがとう・・・」
「今日は・・・ここに来れて良かった」
「今日から・・・何か生きていけそうな気がする」
「やっと・・・踏ん切りがついた・・・・」
「葵ちゃん・・・・」
「ありがとう・・・・・」
========== MUSIC ==========
Corpus Christi:聖体の祝日
place in the sun:日の当たる場所
incavdescence:高熱発光 }
On Cooperation:助け合いの中で
Pavane”M.Ravel”:亡き王女のためのパヴァーヌ
Sesries:セスリス
Sesries:セスリス(オルゴールVer.)
Gymnopedie”E.Satie”:ジムノペディー
Summer Memory:せめて記憶の片隅に
Corpus Christi:聖体の祝日
place in the sun:日の当たる場所
incavdescence:高熱発光
On Cooperation:助け合いの中で
Pavane pour une infante defunte"M・Ravel"
亡き王女のためのパヴァーヌ
Sesries:セスリス
Sesries:セスリス(オルゴールVer.)
Gymnopedie No.1 "E.Satie":ジムノペディー第1番
Summer Memory:せめて記憶の片隅に
========== STAFF ==========
なおき「はにゅ、こにゃにゃちわ〜」
なおき「『夏桜』制作者のよこやまです」
なおき「この度はこの『夏桜』をお買いあげ頂き
誠にありがとうごじゃります」
なおき「感謝、感激、雨、アラレちゃんでふ☆」
なおき「さてさて、今回の『夏桜』はいかがだったで
しょうか・・?」
なおき「ハッキリ言って自分的に作り足りない部分が
結構ある・・と言うのが正直なトコロです」
なおき「今回は制作時間が果てしなく短く、しかも
物語自体が悲しいですので・・・」
なおき「作るのに、本当に苦労しました。たぶん
今までの中で一番難産だったのは絶対です」
なおき「さてさて・・この『夏桜』、この文を読んでいると
言うことは、クリアしてくださったと言うことで」
なおき「あのエンディングに納得のいかない方も
少なからず、居るかもしれません」
なおき「あ、今のウチに言っておきますがエンディングは
一つしかありませんので・・・」
なおき「実際、私自身、ヒロインが亡くなるエンドなんて
バッドエンド以外何物でもない、と思ってますが・・」
なおき「でもこの『夏桜』のテーマは」
なおき「親しい人の死に対する悲しみ、です」
なおき「この物語は、2年前、私の祖父が亡くなった時に
生み出された作品でした」
なおき「当時その頃はまだ私が『Self』を作っていた頃です」
なおき「その時、私もう1○歳でした。祖父が病気で入院し
そしてある晩、祖父が死んだことを知りました」
なおき「でもその時は泣きませんでした」
なおき「祖父が死んだなんて考えられず、本当にただ
眠っているだけの様に見えて」
なおき「その日から、葬式まで、私は悲しいとすら
殆ど思うことはありませんでした」
なおき「でも、葬式で最後に祖父に別れを告げるとき」
なおき「私は、自分でも驚くほど泣きました」
なおき「悲しいとも思ってないのに涙だけがどんどん流れ
声をあげて大勢の前で泣きました」
なおき「何かが外れた様に、今まで溜めていた感情と
涙が流れ、悲しみが襲ってきて」
なおき「厳しいハズだった、威厳ある祖父
確か、いつも私は叱られていたはずなのに」
なおき「でも、今思い出す祖父の顔は穏やかで
過去の楽しい思い出ばかりが思い浮かんできました」
なおき「その時に、生み出されたのがこの物語です」
なおき「『夏桜』、本当はその祖父の死の直後に
『Summer Memory』というタイトルで作成するはずでした」
なおき「ですが、『おせろっと』との制作も重なり、実際に
それを作るには相当の気力が必要だと思い・・・」
なおき「今まで、開発は凍結してました」
なおき「ですが今回、祖父を失った時の気持ちを忘れずに
その気持ちを大切にしたいと思い、今回こうなりました」
なおき「『夏桜』、テーマは親しい人の死、そして悲しみ」
なおき「だからこの『夏桜』の劇中で主人公が出逢う葬式の少年は
他ならぬ私自身を再現しております」
なおき「祖父を失ったときの私が流した涙、それは他ならぬ
祖父の存在が私にとってどれだけ大切だったのかの証です」
なおき「人が死ぬ事は、悲しくて辛くて、何もかもが
不条理に思えてきます、私もそうでした」
なおき「でもその悲しみはその人に対する愛情の証なんです」
なおき「・・・と、いうワケで・・・」
なおき「ふぅ・・・(笑)」
なおき「この『夏桜』、まぁ純粋にギャグ部分でも
えっち部分でも楽しんでくだされば幸いです(ぉ」
なおき「後半が重たい分、前半は出来る限り、楽しくやりました」
なおき「やっぱり自分としても、こっちの方が性に合います(笑)」
なおき「今度作るのはとびっきりカルくて、ギャグ満載の
オチャラケストーリーでも作りたい気分です(爆)」
なおき「つーか新しいゲーム作る前に、もうちょっと
絵が上手くなるようにしますんで(汗」
なおき「まぁとりあえず今回はこの辺で」
なおき「しゃてしゃて、では恒例のスペシャルサンクス
略してスペシュウム光線行ってみましょ♪(違」
なおき「まずはプログラムを手伝ってくださったSSさんと
樋上さん☆ありがとです〜」
なおき「特に樋上さんは土壇場でいろいろと助けて下さって
本当に感謝感激です〜☆」
なおき「次は音楽のtohkaさん♪今回も音楽ありがとうです♪」
なおき「今回は制作期間の短い中、素晴らしい音楽を作って
下さって、本当にありがとうございますん☆」
なおき「また夏コミでお会いしましょ♪(笑)」
なおき「紹介ムービー制作のとにぃさん。ありがとうです〜」
なおき「こちらも本当に短い期間で素晴らしいムービーを
ありがとうござました(^^)」
なおき「んでいろいろ雑用を手伝ってくれたSyunichiさん!
さんくす〜♪」
なおき「また今度DDRしに行こうぜ、今度は是非ダブルの
マニアックDROPOUTで一緒に踊ろうぜ!(死)」
なおき「んで最後はいつものとおり、アリスソフトさん」
なおき「相変わらず良いゲームを作るアリスさんです(笑)
TADAさんとまた直接お話できる日を待ってます(爆」
なおき「しゃてしゃて・・・」
なおき「そしてこの『夏桜』の制作を応援してくださった
方々、掲示板とかでの応援本当にありがとうございました」
なおき「そしてご購入してくださったアナタ!」
なおき「皆々、ありがとうございます!
よこやまはまだまだ頑張りますので(^▽^)」
なおき「そいじゃこの辺で☆明日は遺跡でレアアイテムが
出ますように・・・(爆)」
なおき「でわわん♪」
